福澤諭吉 - その報国心と武士道 (中公文庫)
私は、西部邁氏の最初の学生である。彼が東大に赴任してきた1974年に、学生の自主ゼミとして彼のゼミをつくった。人柄はとてもいい人なのだが、学問的影響はまったく受けなかった。特に大学を辞めてからは「保守論壇」に迎合し、右翼を連れて飲み歩くようになった。私も彼の取り巻きに殴られたことがある。

彼は自分でも認めるように「学生時代はデモばかりやって勉強は何もしなかった」ので、基礎的な勉強が欠けている。本書は福沢論と銘打っているが、内容は丸山眞男批判である。私も丸山についての本を書いているので読んでみたが、唖然とした。何しろ丸山に対する批判の出典が『「文明論之概略」を読む』だけなのだから、学生のレポートとしても不可である。

本書は福沢を保守的なナショナリストとして描き、彼の武士としての側面を強調している。そして福沢を単なるモダニストとして描いた丸山を繰り返し罵倒するのだが、せめて岩波新書以外の論文を読むべきだった。丸山の福沢研究は、むしろ武士としての福沢から始まったのだ。

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