本書はFTの東京支局長だった著者が、3・11の体験を中心に書いたメモワールだ。内容は平凡だが、おもしろいのはインタビューするときの、まわりの状況をくわしく書いていることだ。たとえば彼は、ニチコンの社長の「ものづくり」についての退屈な話より、接客係に注目する。
彼女は部屋に入る前に一度お辞儀をし、一言も発さずに私たちの前に緑色の液体が入った小さな器を置くと、再びお辞儀をする。そして部屋を出て行く際に、戸口でもう一度ていねいに頭を下げたのである(p.36)。
日本人にとっては当たり前でも、あの無愛想な接客係とまずい食事が当たり前のイギリス人にとっては、毎日が天国だったらしい。これを読んで思ったのは、冨山和彦氏のいう「L型社会」に、日本は適しているのではないかということだ。
残念ながら、日本でG型になれる企業はソフトバンクやユニクロぐらいだろう。意思決定のスピードと資本効率を競うグローバル資本主義の世界では、独裁者がすべて決めて責任もとる個人資本主義が強い。みんなで話し合って雇用を維持する日本企業は勝てない。
しかし、それは大した問題ではない。これから雇用の9割を占めるようになるL型産業では、ニチコンの社長より接客係のほうが重要だ。こういう繊細な「おもてなし」をITやチェーン・オペレーションで効率化すれば、まだまだサービス生産性を高める余地がある。
これが21世紀のイノベーションである。これから先進国は「グローバルな情報社会」ではなく「ローカルなサービス社会」になるのだから、日本はそのトップランナーになる可能性がある。
残念ながら、日本でG型になれる企業はソフトバンクやユニクロぐらいだろう。意思決定のスピードと資本効率を競うグローバル資本主義の世界では、独裁者がすべて決めて責任もとる個人資本主義が強い。みんなで話し合って雇用を維持する日本企業は勝てない。
しかし、それは大した問題ではない。これから雇用の9割を占めるようになるL型産業では、ニチコンの社長より接客係のほうが重要だ。こういう繊細な「おもてなし」をITやチェーン・オペレーションで効率化すれば、まだまだサービス生産性を高める余地がある。
これが21世紀のイノベーションである。これから先進国は「グローバルな情報社会」ではなく「ローカルなサービス社会」になるのだから、日本はそのトップランナーになる可能性がある。
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