ルーズベルトの開戦責任: 大統領が最も恐れた男の証言
今週のメルマガの補足。日米開戦が日本にとって愚かな決断だったことは明らかだが、アメリカにとっては賢明な決断だったのだろうか。本書の原著はルーズベルトの政敵が1976年に出した本なので、そのバイアスは割り引いて読む必要があるが、太平洋戦争に必然性があったのかどうかは疑問だ。

ナチスが全ヨーロッパを支配するのを防ぐため、アメリカは参戦する必要があったが、国民の孤立主義は根強かったので、他国から攻撃されてやむなく参戦するという形が必要だった。そのため日本に対する最後通牒としてハル・ノートを出し、真珠湾を攻撃させて世論の圧倒的な支持を得た――というのが本書を初めとする陰謀説の主張である。
ハル・ノートは最後通牒だったばかりでなく、その存在は戦争が始まっても隠されていた。そのため国民のほとんどは、和平交渉の最中に日本が奇襲攻撃してきたと考え、ルーズベルトを熱狂的に支持した。本書では彼は真珠湾攻撃を知っていて、太平洋艦隊に知らせなかったことになっている。その証拠はないが、追い詰められた日本が攻撃してくることは予想できただろう。

日本の攻撃を受けてドイツがアメリカに宣戦布告し、ルーズベルトは予定どおりヨーロッパにも参戦した。それは結果的には、アメリカがわずか30万人の戦死者で世界支配を実現した効率のいい戦争だったと思われているが、どうだろうか。

本書も批判するように、アジアにアメリカの守るべき権益はあったのか。ルーズベルトは日本が世界の脅威で、ソ連は同盟国と考えていたが、日本が敗れたため、中国がソ連の支配下に入って共産党政権になり、冷戦が始まった。彼は主要な敵を見誤っていたのではないか。

もちろん、これは結果論である。日本の膨張主義を放置していたら、中国を支配下に置いてアメリカに対抗する脅威になったかもしれない。しかしルーズベルトがスターリンを助けなかったら、2700万人も戦死したソ連は崩壊していたかもしれない。歴史は、われわれが信じているほど必然的ではないのだ。