さっきの記事の補足。既出の非常に細かい話だが、塩野七生氏も知らないということは、ほとんどの日本人も知らないと思われるので、もう一度書いておく。朝日の検証記事は「旧植民地では強制連行はなかった」と認めたあと、こう書いている。
インドネシアや中国など日本軍の占領下にあった地域では、兵士が現地の女性を無理やり連行し、慰安婦にしたことを示す供述が、連合軍の戦犯裁判などの資料に記されている。インドネシアでは現地のオランダ人も慰安婦にされた。
これに塩野氏は「欧米がこの慰安婦問題を突いてくるとすればこの箇所だ」と書くのだが、これは90年代に問題になり、アジア女性基金の根拠ともなったスマラン事件のことだ。それ以外にも何件かあるが、すべて現地の兵士の強姦事件で、軍紀違反として処罰された。

今回の騒ぎのもとになったのは、日本軍が朝鮮半島から「慰安婦狩り」で女性を戦地に連れて行ったという吉田清治の話だったが、これが嘘と判明したあと、同様の話は一例もみつかっていない。吉見義明氏などがみつけたのは、普通の身売り(年季奉公)の話だし、戦地の事件はすべて現地の兵士の強姦だ。

こういう騒ぎを起こした元凶も、高木健一弁護士だ。彼は朝鮮半島の訴訟で負けたあと、インドネシアまで行って「慰安婦と名乗り出たら1人200万円もらえる」というビラをまいて原告を募集した。当時のインドネシアで200万円といえば10年分以上の収入なので、原告が数十人集まった。池田恵理子氏のいう「インドネシアの訴訟」の原告は、こういう自称元慰安婦だ。

朝鮮半島では証拠がボロボロで敗退した朝日新聞は、日本軍さながらインドネシアまで「転進」しているが、慰安婦問題はもともと日韓の請求権にからんで出てきた話なので、インドネシアなんか関係ない。インドネシア政府が抗議しているわけでもない。ただし塩野氏の次の指摘は重要だ。
半世紀にもなるヨーロッパでの生活で、苦い現実でも直視することを私は学んだ。欧米人の多くには、口に出して言える考えと、口に出しては言えないが胸の内では持っている想い、の二つがあることを学んだのである。[…]

口には出せないが、胸の中では持っている想いとは、キリスト教徒、それも女子供が迫害されるのは許せない、であり、さらにこの人々が白人種であればなおさら許せない、である。(『文藝春秋』10月号194~5ページ)
インドネシアの事件を報じたNYTのオオニシ記者は、たった1人のオランダ人の娼婦の話で1面トップを飾った。このようにアジア人を心の中で蔑視する白人の偏見に迎合して「準白人」扱いにしてもらおうとするのが、日系人の悲しい習性である。