週刊 ダイヤモンド 2014年 4/26号 [雑誌]
今週の週刊ダイヤモンドはソニー特集。もう10年ぐらい同じ悪口ばかり書かれている。「創業者のようなカリスマがいなくなってグループの求心力がなくなった」という話で、この転落は出井伸之氏のときから始まった。

彼はこの求心力の弱さをアメリカ流の委員会設置会社やカンパニー制で埋め合わせしようとしたが、裏目に出た。日本の会社はもともとタコツボ構造なので、バラバラになって社内政治が激化した。
ちょっと前に元ソニーの辻野晃一郎氏が北米法人の執行役員とツイッターで論争したことがあった。それは辻野氏のやったウォークマンがiPodに勝てなかった責任を問うものだった。彼が2005年に出したウォークマンAシリーズは、同時に出たiPod nanoに完敗し、彼のカンパニーは消滅した。

この段階ではすでに勝負はついていたので、失敗は辻野氏の責任ではないが、ポータブル・オーディオプレイヤーの商品化でアップルに2年も先行していたソニーが敗れたのは、音楽部門がMP3をいやがってATRAC3というガラパゴス規格にこだわり、音楽サイトで自社のコンテンツしか出さなかったからだ。辻野氏はMP3を遅ればせながらサポートしたが、ソニーの音楽は最近までiTunesで買えなかった。

Hart-Holmstromが指摘するように、IT産業では資本の所有権よりプラットフォームが企業のコアなので、利潤最大化よりプラットフォームの最適化を優先したほうがいい場合がある。短期的に利潤を最大化しても、プラットフォーム競争に負けると全滅するからだ。プラットフォームは現場が決めるものではなく、経営者が独裁的に決めてトップダウンでやるしかない。

だからやるべきことは明らかだ:不採算部門を売却し、製造を海外にアウトソースして、コア事業の開発部門だけを本社に残して、CEOの責任でプラットフォームを統合することだ。しかしソニーは製造現場を国内に抱えたままなので下克上が強く、一貫した戦略がとれない。現場の雇用を守らなければならないからだ。

この現場主義が、日本の企業に共通の病である。みんなが長期的関係に自縄自縛になって部分最適にはまり込んでいる。本来は資本市場でそういう「大変化」は実現するのだが、日本では資本市場が機能していないので、ソニーも生きるか死ぬかの瀬戸際に追い込まれるまで変われないだろう。