Economist誌の記事がおもしろいので、紹介しておこう。

エネルギー問題を解決する最有力のエネルギーは、石炭である。それは現在の消費量で、今後109年間は埋蔵量が確認されている(たぶんその数倍はある)。価格は圧倒的に安く、しかも余って下がり続けている。石油はもちろんLNGの半分ぐらいで、安全規制で高価になった原子力より安い。

したがって外部不経済を考えないで市場原理で評価すれば、石炭はどこの国でも最低コストのエネルギーだ。日本の電力会社が相次いで石炭火力を建設するのも合理的だ。政治的リスクの大きい原発を、彼らがこれから建設する理由がない。

たった一つの問題はCO2だ。これも削減する技術があるが、それを装備すると石炭火力の建設費は6800ドル/kWと、安全規制のうるさい原発より高くなってしまう。それでも日本の技術は世界一なので、日本の電力会社にとっては合理的な選択肢だ。
本当にそれでいいのだろうか。IPCCは、地球温暖化を2℃以内に抑えるためには、CO2排出量を2050年までに40~70%も削減する必要があると言っている。どんな「クリーンコール」でも、CO2をゼロにはできない。IPCCの予測は不確実性が大きいが、気候変動のコストは1兆ドルを超すという試算もある。採掘事故などのリスクも、原発よりはるかに大きい。

しかし気候変動が起こるのは、IPCCが正しいとしても、あなたの死んだあとだ。採掘事故は、日本で起こるわけではない。合理的(経済学用語で利己的という意味)に考えれば、今のうちにガンガン石炭を使って、気候変動のコストは将来世代に負担してもらうのも一案だ。100年後にはもっと技術が進歩しているので、CO2なんか大した問題ではなくなる可能性もある。

ただ、そのころ日本人がそういう技術を採用できるほど豊かかどうかはわからない。今のように使える原発を使わないで、無意味な電力税をかけていると、これから日本は確実に貧しくなってゆく。そういう総合的なコストを計算し、感情をまじえないでエネルギー政策を考える必要がある。