きのうのシンポジウムのあと出た話を、ネット上の情報でわかる範囲で確認しておく。非常に細かい話だが、再稼働問題の根幹にかかわるので、確認しておく。
よく「原子力規制委員会が再稼働を審査する」というが、これは誤りである。これは原子炉等規制法にもとづく安全審査であり、設置許可、工事計画認可、燃料体検査、使用前検査、保安規定認可からなる。そのうち問題は、保安規定である。炉規制法の第43条の3の24には、こう書かれている。
発電用原子炉設置者は、原子力規制委員会規則で定めるところにより、保安規定を定め、発電用原子炉の運転開始前に、原子力規制委員会の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
ここから規制委は、保安規定を「変更」する場合も「運転開始前」に認可が必要なので、安全審査が終わるまで運転できないと解釈しているようだ。安倍政権が「安全が確認された原発から再稼動する」というのも、この規定を根拠にしているものと思われるが、これはおかしい。

この規定は原子炉の設置許可後の運転開始の手続きであり、保安規定の変更のたびに停止しろとは書いてない。保安規定は「従事者への保安教育の実施方針、原子炉施設の保守管理、原子炉施設の品質保証」などを定めた書類であり、その変更のために原子炉を停止するというのは明らかに不合理である。

この部分以外には「運転開始前」という条件はない。安念潤司氏もいうように「これらの許認可申請のために、電力会社は原子炉の運転を停止する法令上の義務を負うわけではない。許認可手続きと原子炉の運転は並行して行えるのである」。現に大飯3・4号機は運転したまま保安規定を変更した。

少なくとも「再稼動の審査」は法的に存在しない。原発の定期検査を終えるたびに「再稼動の申請」が必要になったら、検査を2度やることになる。定期検査を終えた原発は運転を再開し、フィルター付ベントなどの審査も運転しながらすればいいのだ。