菅原某という行政書士が「高校生からのマクロ・ミクロ経済学入門」と称するサイトで、前から私に粘着している。無視していたら、いろんなところで受け売りする連中がいるので、おもしろいからちょっと答えておこう(バカを見たくない人は無視してください)。
彼は私のマネタリーベースとマネーストックの図が気に入らないらしく、「マネーストックのスケールを右軸にしたら相関がある」と書いている。では彼の期待していた「異次元緩和」でどうなったか、見てみよう。

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マネタリーベース(緑・左軸)とマネーストック(赤・右軸)の前年比増加率(出所:日銀)

黒田総裁になってから、マネタリーベースは前年比50%近く増えているのに、マネーストック(M2)は4%ぐらいしか増えていない。コアコアCPI上昇率も前年比0.5%しか上がっていない(今は0%)ので、これを2%に上げるには(線形の相関を仮定しても)、今後マネタリーベースを年率200%以上ずっと増やし続けなければならない。2年で2倍(年率50%増)で終わる異次元緩和では、コアコアCPIはたかだか0.5%にしかならない。

全体をみればわかるように、普通の(金利がプラスの)場合には貨幣乗数が安定しているので、両者はほぼパラレルに動いている(図ではM2の変化率のほうが大きいようにみえるが、これはスケールの違い)。しかし2000年代にはその相関が切れて貨幣乗数が激減し、マネタリーベースで物価が決まるという19世紀的な貨幣数量説は死んだのだ。これは岩田副総裁も今では認めている事実である。菅原某は、自分が高校に入り直したほうがいい。