細かい話で恐縮だが、研究者が公然と嘘をついているのは放置できない。吉見義明氏が大阪市役所で記者会見して橋下市長を批判し、「軍の施設として組織的に慰安所を作った国はほかにない。日本の慰安婦制度は特異だった」と述べたのは嘘である。

ナチスの設置した大規模な国営売春施設は、ドイツ連邦大学教授のFranz Seidlerが1977年に書いた著書に詳細に記録され、Wikipediaにも掲載されている。『慰安婦と戦場の性』から、その一部を引用しておこう。
国防軍慰安所と親衛隊(SS)用の慰安所が占領地に開設され、地区司令官の監督下で、前線の中隊長が軍医と協力して運営に当った。前線領地における慰安所は500ヶ所以上(1942年)。[…]慰安婦はしばしば強制徴用された。ドイツ本国での強制労働を拒否した若い女性は、代わりに慰安所で働かされた。(pp.150-1)
秦氏によれば、この他にもソ連や英連邦軍に同様の軍用売春施設があった。ナチスのやった国営売春は、日本の慰安婦とは違って強制連行をともなう国家犯罪で、ドイツでも問題になっているという。まさか吉見氏が秦氏の著書を読んでいないとは考えられないので、彼は歴史を偽造している。

この他にも、戦後の日本でRAAと呼ばれる米軍用の売春施設が設置されたことは、メア氏も認めている。そもそも公式の施設があったかどうかなんて大した問題ではなく、戦争に強姦や売春はつきもので、どこの国もやっていた。この点で橋下氏の話は、歴史的事実として正しい。