きょうは大阪の読売テレビで「そこまで言って委員会」の収録。また慰安婦問題で、田嶋陽子氏のノイズはお約束だったが、元米国務省日本部長のケビン・メア氏が問題を理解してないのには驚いた。

私が「強制連行と人身売買は別問題だ」というと、「そんな区別はどうでもいい。日本が戦争への反省を撤回することは、政治的に賢明ではない」という。彼は国務省の知日派だったので、これは深刻である。NYタイムズの報じる「国務省高官」も、実情を知った上で日本にアドバイスしているのではなく、もともと問題を理解していないのだろう。

こういうデリケートな問題は、公式にはもめても事務レベルでは双方が「落とし所」を知っているのが普通で、政治家どうしで「ガス抜き」をやって、時間がたってから妥協するのが普通だ。しかし事務レベルで問題が理解されていないと、永遠に話はつかない。外務省が、ここまで無能だとは思わなかった。

アメリカから見ると、強制があったかどうかなんてどうでもいい問題だろう。日本政府も、軍が慰安所の運営に関与したことは20年前に認めている。韓国政府は日本軍が強制連行したというから、日本政府はそんな事実はないと言っているだけだ。争点は民間の人身売買ではなく、公権力の行使の有無である。

これはメア氏も、かつて沖縄で経験したことだろう。米兵が強姦事件を起こしたら、米軍が組織として犯罪をおかしたことになるのか。彼は遺憾の意を表明するだろうが「軍の命令ではないので合衆国政府は責任を負わない」というだろう。日本政府もそういう常識的な話をしているだけで、戦争への反省とは関係ない。

ところが韓国政府が、証拠もないのに「強制連行を認めろ」と日本に執拗に求めるから混乱するのだ。むしろアメリカ政府は、韓国に「根拠もなく日本政府を攻撃するのは、もうやめてはどうか」というべきだ。70年前の娼婦の話に関心をもつ日本人はほとんどいないので、韓国政府が嘘をつくのをやめれば、この問題は自然消滅する。

メア氏は基本的な事実関係を知らないようなので、英文ブログで勉強してほしい。彼が事実を理解すれば、日韓の喉に刺さっているトゲを抜くきっかけになるかもしれない。