安富歩氏の話はあまりにもバカバカしいので無視していたが、2月2日の記事で私に反論を試みていたようだ。いつまでも愚劣な話を繰り返すのは世間の迷惑なので、補足しておく(これは彼の特殊な思い込みなので、他の人は読む必要がない)。

彼はこう書いている:
何人・kgで一人死ぬか、という係数をαとするとα=15000だから、一人が年間15tの野菜を食うと死ぬので、1000人が年間15kgの野菜を食うと一人が死ぬ。
こういう計算をしてはいけないことは、彼が引用している私の記事にわざわざ追記しているが、彼は日本語が読めないようなので説明しておこう。その出典である2007年のICRP103号勧告にはこう書かれている。
集団実効線量は、放射線の利用技術と防護手順を比較するための最適化の手段である。疫学的研究の手段として集団実効線量を用いることは意図されておらず、リスク予測にこの線量を用いるのは不適切である。その理由は、(例えばLNTモデルを適用した時に)集団実効線量の計算に内在する仮定が大きな生物学的及び統計学的不確実性を秘めているためである。
わかりやすくいうと、私が前の記事で書いたように、低線量被曝のリスクは個人間で集計できないのだ。これはLNT仮説がリスク予測のための仮説ではなく、中川恵一氏もいうようにリスク管理の目安にすぎないからだ。それは低線量被曝のリスクが統計的に有意ではないので安全側に倒して管理しているだけで、ICRPは疫学理論としてのLNT仮説は放棄している(実質的に閾値を認めている)ともいえる。

安冨氏のような計算が正しいとすると、日本の自然放射線は2.1mSv/年だから全国で26万人・Sv。これにリスク係数0.055をかけると、毎年1万4000人が放射線による癌で死んでいることになる。そして線量が2倍になれば、死亡率はその2倍に増えるはずだ。しかし以前の記事でも紹介したように、疫学調査の結果は一貫してその逆を示している。被曝量が3倍になると癌死亡率は減少しているのだ。
これは明らかに、健康被害に閾値があることを示している。つまりLNT仮説は、疫学的には反証されているのだ。これは福島の人々には朗報である。福島の被曝線量は全域で5mSv未満なので、おそらく発癌率は下がるものと予想される。

追記: 死者の桁を間違えた。失礼。