きのう出したメルマガに、今回の再稼働に関連した話題があるので紹介しておこう。

プリンシパルがエージェントに業務を委託するとき、後者だけが知っている情報の非対称性があると、それを利用して利益を得る行動が起こります。これをモラルハザードといいます。これは日本で誤訳されているような「倫理の欠如」ではなく、合理的な行動です。

その典型が、関西電力の大飯原発をめぐる飯田哲也氏の行動です。彼はこう言います:
第1に市場や情報を利用した様々な合理的な節電策。東京都の報告では照明対策や空調対策で昨年業務部門で25%節電。村上憲郎さんの試算ではDR市場活用で関西電力管内500万kW・16%もの節電可能性
これは嘘です。村上氏の「ネガワット取引」構想は長期的な制度設計の話で、今年の夏には間に合わない。
第2に西日本の電力会社6社の電力融通可能性はピーク時でも900万kW可能性(ISEP試算)。自家発は2~300万kW追加可能性。需給の改善で揚水発電をピーク時に昨年並み465万kW利用可能
他の電力会社も、夏場に原発が止まったらぎりぎりで操業しているので、900万kWも融通できるはずがない。「自家発で2~300万kW」というのも驚きです。去年の東電の停電騒ぎのときも、こういう「埋蔵電力」がいわれましたが、結局何も出てこなかった。揚水というのは蓄電設備なので、発電ができないときに昨年並みの発電ができるはずがない。

・・・といった無責任なものです。常識で考えても、原発の依存率48%の関西電力で、それがすべて止まったら電力が足りるはずがない。去年足りたというのは、電力制限令で15%の節電を強要したからで、そういう強権発動をすれば、いくらでも電力需要は減らせます。それによって発生した年間3兆円の燃料費の損失には、飯田氏はまったくふれない。

こういう彼のモラルハザードは合理的です。「電力は足りる」と主張しても、彼が特別顧問である大阪府市には何の許認可権もないので、まったく責任がない。政府が再稼働の交渉をするときも、彼は「政府のやり方は汚い」とか何とか、きれいごとを言っていればいいので、彼はマスコミの人気者になります。

常識的には、発電所の能力が十分あるのに計画停電ということはありえないから、どこかで政府が再稼働の許可を出すでしょう。これ自体は簡単なことで、地元の同意も必要ない。いよいよ危なくなったら、経産相がOKするだけですぐ稼働できるのです。そうすると稼働しなかったら何が起こったかはわからないので、飯田氏は「本当は足りていたのに政府は原子力村と癒着して危険な原発を稼働した」と非難すればいい。

このように確率的な事象では因果関係が不明なことが多いので、エージェントが自分にしか知りえない私的情報を利用して、うまく行ったら自分の功績にし、失敗したら運が悪かったということができます。こうしたモラルハザードを防ぐ方法は・・・

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