慰安婦と戦場の性 (新潮選書)韓国の李明博大統領が来日して、民団の会合で「解決しなければ、日本は永遠に両国間の懸案を解決できない負担を持つことになるだろう」と述べたという。これについては本書も述べるように歴史学的には決着がついているが、韓国メディアはいまだに事実を報道しないので、大統領も誤解しているのだろう。簡単におさらいしておくと、
  • 「従軍慰安婦」なる軍属は存在しなかった。いたのは民間業者が運営して軍が監督した公娼である。これが人身売買などの悲劇を生んだことは事実だが、戦前には売春は合法だった。
  • 大部分の慰安婦は日本人だったが、彼らは一人も「強制連行」されたと証言したことはない。通常の軍属をみても明らかなように、朝鮮人だけが徴用されることはありえない。
  • 軍が慰安婦を軍命で徴用したのであれば軍の責任だが、そういう文書は広い太平洋戦線で1枚もない。吉見義明氏などが「証拠」として挙げる慰安所についての通達は、軍が業者に慰安婦を強制的に連れてくるなと命じる文書である。
  • 大戦末期にオランダ領東インドで、陸軍部隊がオランダ人女性を拉致して慰安所で働かせたスマラン事件(白馬事件)は軍紀違反であり、慰安所は軍の命令で閉鎖され、責任のある将校は処罰された。
  • この問題は、福島瑞穂氏を初めとする日本の弁護士が、国家賠償を要求するために捏造したものである。当時NHKも朝鮮半島まで取材し、私は数十人の証言を撮影したが、男女ともに一人も「強制連行された」とは証言しなかった。
  • しかし朝日新聞の植村隆記者が「朝鮮人女性を挺身隊の名で強制連行した」という誤報を流したため問題が再燃し、1993年に河野洋平官房長官(当時)が公式に謝罪した。これが「日本政府が慰安婦の強制連行を認めた」と世界に認識されてしまった。
  • 安倍元首相はこの誤解を是正しようとしたが韓国政府が反発し、NYタイムズのノリミツ・オオニシ記者など海外メディアの激しい攻撃にあって、沈黙してしまった。
この経緯からいえる教訓は、日本政府が事実関係を曖昧にしたまま謝罪したり基金を創設したりしても、韓国はいつまでも問題を蒸し返すということである。したがって民主党の前原政調会長が示唆した「新基金」の創設は「やはり日本政府が犯罪を認めた」と認識されて逆効果である。

この歴史学的にはtrivialな話がここまで大問題になってしまった最大の責任は、重大な誤報をして口をぬぐう朝日新聞にある。彼らがこれを訂正することは望みえないので、NYタイムズが史実を検証してはどうだろうか。ファクラ―支局長もタブチ記者もオオニシ元支局長のような嘘つきではないので、本書を読んで著者にインタビューすれば事実は十分わかると思う。

追記:この問題については、4年前に英文ブログでも書いた。