渡辺京二傑作選① 日本近世の起源 (新書y)消費税が、また政局の焦点になってきた。与野党ともに増税の必要を認めているのに、「マニフェスト違反だ」といった手続き論で不毛な議論が繰り返されるのは、要するに選挙が恐いからだ。それにしても、日本人はなぜこれほど消費税がきらいなのだろうか。

ほんらい税金は自分の受ける公共サービスのコストを自分で負担するのだから、本質的な選択は歳出を増やす段階で行なわれるのであり、それを税で負担するか国債で負担するかは大した問題ではない。しかし日本では負担と受益の関係がはっきりしないので、とりあえず歳出だけ増やして負担は先送りしたいと考える。これは税金を一方的に取られる(公共サービスと無関係な)年貢のようなものだと思っているからだろう。

こうした意識は、近代以前から継承されたものだ。百姓一揆の原型は戦国時代に始まった一向一揆だが、それはマルクス主義的な歴史家のいうような「民衆反乱」ではなかった。本書も指摘するように、当時はまだ武士と農民が階層分化しておらず、本願寺も領主の一つだった。それが織田信長に滅ぼされたのは、本願寺の側から信長を攻撃したからであって、その逆ではない。

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