ちょっとむずかしい話が続いたので、息抜きにきのうの世田谷の放射能騒動を取り上げよう。武田邦彦氏は、13日8時40分のブログ記事でこう書いた:
哀しい事実と、国や自治体のウソがまだ続いています。[・・・]ところが現在(14日19時30分)では大幅に訂正されているので、差分を取ってみた:
世田谷で1時間あたり2.7ミリシーベルトが観測されましたが、道路の脇の藪の傍で、当然、死の灰の性質からいって予想されることです。毒物が飛散した場合、「どこに毒物があるか」というスタンスで毒物の多いところを探して、そこを警戒するのに、「できるだけ事故を小さく見せたい」ということで公園の真ん中など意味のないところを測定していたのです。
最初の記事では冒頭にあった「哀しい事実と、国や自治体のウソ」が抹消され、「当然、死の灰の性質からいって予想されることです」という重要な文が、こっそり「付近の住宅にラジウムなどを保管していた」と訂正されているが、「1時間あたり2.7ミリシーベルト」という事実誤認(マイクロシーベルトの誤り)は訂正されていない。哀しい事実と、国や自治体のウソがまだ続いています。[・・・]
世田谷で1時間あたり2.7ミリシーベルトが観測されましたが、道路の脇の藪の傍で、当然、死の灰の性質からいって予想されることです。これは付近の住宅にラジウムなどを保管していたためとされています。事件は、毒物が飛散した場合、「どこに毒物があるか」というスタンスで毒物の多いところを探して、そこを警戒するのに、「できるだけ事故を小さく見せたい」ということでのが常道なのに、これまで公園の真ん中など意味のないところを測定していたのです問題が大きくなりました。[・・・]
両方のバージョンを比較すると、死の灰は世田谷には降っておらず、武田氏の「予想」は誤っていたのだが、それにはほおかむりしている。彼はこの事実誤認をもとにして「国、自治体、専門家、NHKはまったく頼りになりません」と非難したのだが、これも抹消されている。ウソをついたのは国でも自治体でもなく、武田氏であることは明らかだろう。
毎時2.7μSvというのは、年間23.6mSvである。原発事故でこのような高い線量が都内で観測されたことはないので、専門家ならまず原発以外の原因を疑うだろう。ところが素人の彼にはそういう常識がないので、区も事実関係を確認しないうちから「世田谷の高線量率と福島の新米(緊急)」などという見出しで恐怖をあおる。そしてその前の記事には講演会の宣伝が出ている。彼は被災者を食い物にしているのだ。
普通は、これほど致命的な間違いがあったら、訂正して謝罪するのが常識だが、このようにこっそり改竄するのが彼の常套手段である。そのうちBLOGOSの記事も改竄するかもしれないが、最初のバージョンは魚拓に残っているので無駄である。彼も一応、大学に籍を置く研究者なら、訂正のマナーぐらい知っているだろう。学生には何を教えているのか。
この他にもウェブで検索してみると、武田氏のトンデモ発言は山ほど出てくる。批判されると、彼が反論する根拠は「国が1ミリシーベルトと決めたのだから危ない」というだけだ。その基準に科学的根拠がないという批判には「それは国の問題だ」と逃げる。他方で、著書ではECRRなる反核団体の推測をもとに、「福島事故で40万人が死ぬ」などと脅す。国の基準ではなくても、恐怖をあおる数字なら何でもいいのだろう。
こんなのを相手にするのは時間の無駄だからもうやめておくが、彼は大学教授の肩書で専門家めかした言葉を使うので、広瀬某のように明らかにでたらめな話より始末が悪い。武田氏の専門は資源材料工学であり、原子炉の専門家でも放射線の専門家でもない。マスコミも、彼を使うのはやめるべきだ。
追記:15日の記事では、「法律で決まった基準が正しい」と主張している。その法律を決めたのは、武田氏が「ウソつき」と指弾する国なのだが、その矛盾に彼は気づいているだろうか。







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