再生可能エネルギー法案の与野党協議が終わり、成立の見通しとなった。これで首相が辞めるのはめでたいが、河野太郎氏世耕弘成氏などがこれを「画期的な成果」として自画自賛しているのが気になった。私は基本的には彼らの自由主義的な政策に賛成だが、今回の法案はそれとは相容れない。

政府が電力の買い取り価格を規制するフィードイン・タリフは、欧州の社民政党が愛好する政策で、ビル・ゲイツも指摘するようにエネルギー産業を補助金産業に堕落させるものだ。
使用エネルギーの半分を太陽光から取り込むとしても、日が昇るのは日中だけです。夜に備えて十分な量のエネルギーを備蓄する必要があり、これは非常に厄介な問題です。現在使用しているもの100倍の性能を持つバッテリーを必要とするからです。
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単に補助金をどっさり手に入れることしか考えていないのならば、それでもよいでしょう。賢いとさえ思います。経済的にはまったく理にかなっていないにもかかわらず補助金がばら撒かれているのです。実際、補助金の90%は設備の設置に割かれています。これはヨーロッパでもアメリカでも同じで、研究開発のために割かれてはいないのです。
実際には今回の再生エネ法では、買い取り価格が20円/kWh以下に設定される見通しなので、太陽光は採算に合わない。これだけは別枠になるが、孫正義氏のいう「40円で20年」という夢のような価格がつくことはありえない。彼は賢明だから、天然ガスに方向転換し始めている。格安の太陽電池で劣悪な電力を売りまくることも規制されるので、ボロもうけもできない。つまり結果的には、再生エネ法では何も起こらないだろう。

これ以外にも松田公太氏は「原発国民投票法案」を提出した。こういう世間的には「改革派」とみられている議員が、意味不明な脱原発に熱心なのは、それが大衆受けするbuzzwordだからである。集票基盤の弱い彼らは、政策で人気取りをせざるをえないので、「エコ」は絶好のイメージ作戦なのだ。

もちろん政策で人気を得るのは、地元利益で当選する自民党型の政治よりはましだが、結果的にはマスコミ(特にテレビ)で受けるためのマスコミ族議員になってしまう。今回の与野党協議の中心になった山本一太氏は、新聞の「特殊指定」を支持する議員連盟の主要メンバーで、新聞業界から政治献金を受けた。

救いがたいのは、今の団塊世代の次をになうのが、この世代だとみられていることだ。彼らの世代では「小さな政府」がコンセンサスだが、エネルギー・環境政策だけは統制経済に人気が集まる。それが日本経済の高コスト体質をさらに悪化させて将来世代にツケを回す、民主党のバラマキ福祉と同じだということに、彼らが気づくのはいつだろうか。