かつて「どしゃぶり」といわれた雇用情勢が「氷河期」といわれるようになり、最近は言葉もなくなったが、私は「メルトダウン」と名づけたい。きょうのアゴラ/BLOGOSシンポジウムは、そういう陰鬱な話だった。

パネリストの海老原嗣生氏も会場の常見陽平氏も「今年の就活は史上最悪になる」と予告していた。4月に出るはずだった内定が6月以降に延期され、それも大幅に削減されそうだ。大企業の採用計画は全面的に見直され、中小企業では雇用が消滅してしまった。震災の影響はいうまでもないが、電力不足が長期化しそうなことがメーカーの雇用を凍りつかせている。

今まで日本的雇用はそれほど急速に変わらないと主張してきた海老原氏と、「昭和的価値観」を批判してきた城繁幸氏の意見があまり違わないのも意外だった。終身雇用・年功序列の大企業ホワイトカラーは労働人口の4%程度であり、それを基準に雇用問題を語ることが錯覚なのだが、その錯覚も今回の震災をきっかけに崩れ、グローバル企業はアジアに脱出し、国内には競争力のない企業だけが残る「逆淘汰」が起こるかもしれない。

それに対して、民主党は厚生年金への強制加入で非正社員の雇用コストを増やそうとし、厚労省は有期雇用の規制強化で契約社員の地獄への道を舗装している。自由な働き方の幅を広げるべきだという点では、安藤至大氏も含めてパネリストの意見が一致したのだが、政府はその逆方向に走っている。

そうこうしているうちに、日本経済や財政がメルトダウンする可能性もある。15兆円の復興予算を組めば、GDPベースではプラマイナスゼロぐらいになるという予測もあるが、GDPはフローの統計にすぎない。今回の地震で失われたストックは、15兆円をはるかに超えるだろう。生産設備が大きく損なわれた今は、供給能力を再構築することが最優先だ。この期に及んでも、復興国債の日銀引き受けといった需要側の話ばかりしているリフレ派は救いがたい。

このままでは「余命3年」どころか、あと1年ぐらいで日本経済が「焼け野原」になるおそれもある。しかし被災地のみなさんには申し訳ないが、財政が破綻しても人が死ぬわけではない。3万人の命が失われる状況は戦争を除けば考えられないのだから、戦後最悪の災害をくぐった日本人は、危機に立ち向かって改革する勇気を得たのではないか。