週刊東洋経済の臨時増刊は「デフレ完全解明」。ところが中身を読んでみると、10人のエコノミストのうち「4%のインフレ目標」などと叫んでいるのは岩田規久男氏だけで、他の人々は「規制改革」や「産業構造の転換」あるいは「潜在成長率を高める」など、デフレそのものをほとんど問題にしていない。もうデフレ論争は終わったということだろう。一般論としては、金融政策が効果をもつ局面はある。伊藤隆敏氏も指摘するように、90年代末の金融危機のとき、日銀が現在のFRBのようにアグレッシブな流動性供給を行なっていれば「デフレの罠」に陥ることを防ぐことができたかもしれない。さらにさかのぼれば、90年代前半の不良債権処理の失敗によって企業のバランスシートが毀損した状態が長期化したことも大きい。しかしこれは結果論で、今いってどうなるものでもない。
上野泰也氏もいうように「デフレの原因は実物経済の需給バランス」なので、実物経済を改善しないでデフレを直すことはできない。現在の標準的なマクロ理論によれば、デフレの罠の原因は自然利子率が低い(負になっている)ことであり、その原因は潜在成長率が低いことだから、潜在成長率がゼロに近いとき人々がデフレを予想するのは合理的なのだ。
「デフレ」といわれる現象のかなりの原因は新興国との競争による相対価格の低下だから、TPPよりもEPAで資本統合を進めることが重要だ。本社機能や高付加価値の事業を日本に残す一方、コモディタイズした製造業は新興国に移転して国際分業をはかる。古い企業は海外企業が買収して再生できるように対内直接投資を増やし、労働市場の調整機能を高めて人材の移動を促進することも重要だ。
こうした複雑で困難な改革に目を閉ざして、日銀が金をばらまけば景気がよくなるなどという幻想を振りまくのは、もはや犯罪的である。さらに厄介なのは、政府が問題の所在を認識せず、「労働者派遣法の改正など雇用や収入に不安を抱える非正規労働者の正社員化を進めます」などと真逆の方向に走っていることだ。多くの論者が指摘するように残された時間は少ないが、民主党政権では何もできないだろう。
「デフレ」といわれる現象のかなりの原因は新興国との競争による相対価格の低下だから、TPPよりもEPAで資本統合を進めることが重要だ。本社機能や高付加価値の事業を日本に残す一方、コモディタイズした製造業は新興国に移転して国際分業をはかる。古い企業は海外企業が買収して再生できるように対内直接投資を増やし、労働市場の調整機能を高めて人材の移動を促進することも重要だ。
こうした複雑で困難な改革に目を閉ざして、日銀が金をばらまけば景気がよくなるなどという幻想を振りまくのは、もはや犯罪的である。さらに厄介なのは、政府が問題の所在を認識せず、「労働者派遣法の改正など雇用や収入に不安を抱える非正規労働者の正社員化を進めます」などと真逆の方向に走っていることだ。多くの論者が指摘するように残された時間は少ないが、民主党政権では何もできないだろう。







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コメント一覧
岩田氏の議論は(高橋氏とは違って)マネタリーベースを増やせば「インフレ予想が起こる」という話ですが、なぜそういう予想が起こるのか、因果関係が説明されていない。普通のDSGEではforward-lookingに予想を決めるので、そういうことは起こりえないし、adaptive expectationでもそんなことは起こらない。今のところ経済学に予想形成についてのまともな理論はないので、こういう統計的な相関だけを頼りにした議論は、遠隔作用を認めるオカルト経済学。
「日銀の金融緩和がアメリカより消極的だったから円高になった」という話も、同じくミクロ的基礎がない。マネタリーベースを増やしても物価には影響しないのだから、為替レートに影響するはずがない。このときの市場の反応の原因は、金融システム不安。そういう制度的な要因を無視して「どマクロ」で考えるのも、こういう人々の特徴。もう彼と浜田宏一氏ぐらいしか残ってないが。
Funeral by funeral, theory advances. --P. Samuelson
リフレ派(の一部)がより硬化したのは、2006年初の金利・成長率論争がきっかけでしょう。当時の与謝野経済財政担当大臣が金利・成長率の4つのシナリオを(無理矢理)提示したからです。議事録を読めばわかりますが、「金利のほうが高い」とかナンセンスなことを言っちゃうものだから、不毛な論争に嵌ってしまった。議長の小泉さんが最後に叱ったのは笑えます。
"「デフレ」といわれる現象のかなりの原因は新興国との競争による相対価格の低下"
というのは、主に賃金が低いこと(?)だとしたら、
"本社機能や高付加価値の事業を日本に残す一方、コモディタイズした製造業は新興国に移転して国際分業をはかる。"
というのはどれだけ続くのかが興味深いです。
新興国の企業も高付加価値の事業をするようになり、加えて賃金も高くなれば、国際分業したところで分業での規模の拡大によるコスト削減にはなっても新興国の低賃金によるコスト削減という意味はなくなるということですよね?
私は世界中がいずれは同一労働同一賃金になると考えている
http://sitekamimura.blogspot.com/2010/07/blog-post.html
ので、それが今年か来年か、10年後か50年後か(いずれにしても21世紀中にはそうなると思います。)、経済学者の方々はそれぞれ考えがあると思いますが、どれくらい先に世界中が同一労働同一賃金なるか、あるいはならない、そしてその理由等が活発に議論されるようになると興味深いです。
『できあがってしまってる』政官財に、
何を言っても今更、転身は不可能ですから、
ぜんぶハッ倒して、更地にして、
ゼロからやり直すしかない…日本共和国でもなんでも。
むろん、柔らかい頭脳をそろえた上でです。
すでにNECはレノボとの一体化を進めてますね。
国債以外も非課税になりますね。
嫌でも国の内か外かを気にしてる場合ではなくなってきた。
『融合』が進んでいる。
世界中が同一労働同一賃金になると言うのは、どうだろうか。
少し前まで、此の国は、途上国よりもより高度の技術力や、品質の高い労働力に支えられて来ました。其れが追いつかれてしまったのは、その差のもたらす恩恵に気付いていなかったからだと思います。
今中国や韓国に活気があるのは、日本の十分の一の賃金で、日本の生産力や、技術力を手に入れて商品を作る環境が出来たからです。
同じ付加価値の商品を作り出している限り、十分の一の賃金に敵う方法はありません。此の国の賃金を十分の一にすれば、此の国は崩壊します。或いは、移民を受け容れても移民と同等同質の国民は同じ賃金にクランプされてしまい生活できません。
10倍のコストで勝ち残れる付加価値や、生産性の実現をこそ考えるべきです。その為の教育や、研究開発投資や、政策無しには此の国は生きのこれません。
賃金を十分の一にすれば、其れは今途上国にあるスラム街や、社会不安や、不正がそのままこの国
に再現されることを意味します。
その為には、世界一の教育を持ち、世界一の高度な技術力の維持し再生するしかありません。
一番でなきゃ駄目なんです。
大切な事は、日本は究めて律儀に規則性をもって、生きている。いや、生きすぎている。。∴一度でも一敗するとそれが延々と続いていいく。。ここがもう止められない。。
そもそも、リフレ派の言っている、インフレ予想が起こる、とはどういう状況のことなのか?リフレ派の人たちはなんと説明されてるんでしょうか・・・
粗雑に考えると、消費者心理に関わることなのかな?とも思えますが、マネタリーベースを増やすだけで、それだけである種の錯覚が広がり、物価が下げどまる、なんてことがあるんだろうか?と考え込んでしまいますね。
ただ一方で、将来金利が上がるリスクというのはなんとなく我々の中にもあって、
住宅ローンなんかも固定じゃないと、なにがあるかわからない。これは財政破綻懸念のことですから、別に騒がずともそのうちインフレになるだろうと、私なんかは思ってますけどもね。その意味では金融政策は次に来るインフレに備えていないといけない、そっちの方が本質的ですね。消費者心理も期待ではなく懸念としてインフレを想定しつつあるところだと思いますが。人口動態からいってもその可能性の方が大きいはずです。リフレ派の方々はそのあたりどう分析されているんでしょうか?聞いてみたいですね。
トヨタの社訓にこういうものがあります。
「常に なぜ?を5回繰り返せ。」
経済学でもこれが通用するのか考えてみましょう。
1:デフレは何故起きたのか?
↓何故?
2:新興国との競争による相対価格の低下&不景気
↓何故?
3:新興国の品物が安すぎる&海外への輸出が伸びない
↓何故?
4:円高
↓何故?
5:貿易より資本の移動の方が大きくなってきている
&リーマンショック後に各国がデフレ回避のため金融緩和する中日銀は常に今の水準以上にはやらないと言ってそれを実行してるからセーフ・ヘブン通貨としてリスクを回避する投資家は円にシフトした
じゃあ、金融緩和してもいいのか?
って事で、関連しそうなデータを見る。
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為替の大雑把な動き
2007年相場 2010年相場 2010/2007
アメリカドル/円 120 85 0.7
オーストラリアドル/円 100 80 0.8
イギリスポンド/円 240 140 0.6
カナダドル/円 110 80 0.7
スイスフラン/円 100 85 0.8
欧州ユーロ/円 160 110 0.7
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少なくとも2007年相場に戻すくらいは問題ないであろう。
2007年はその状態でやってきたんだし。結局世界金融危機への日銀の対応が間違っていたという事でしかないのでは。他の国はかなり復活してるんだし。
中国が「日本からの技術の流出」を狙って、一万円札を中国国内の金庫にしまって、代わりに元を刷っているかもしれないが、ここまでいくと陰謀論に近いかもしれない。
池田先生
>TPPよりもEPAで資本統合を進めることが重要だ。
と仰られているのですが、私はTPPとEPAは地理的な範囲が違うだけで内容は同じだと解釈しているのですが、先生はTPPとEPAの二つをどう解釈なされているのですか?
tak_the_greatさん、私の意見でよければ参考にしてください。
もちろん関税はないほうがよいと思います。しかし、国家は関税を撤廃しても関税自主権まで放棄することはできません。これは、国家主権の問題です。個別のFTAやEPAなら関税自主権を温存できる。また日本にとってTPPはオーストラリアとニュージーランド、アメリカの三カ国との関係だけの貿易問題になります。そして、オーストラリアとニュージーランドは日本とは個別のEPAを締結するほうを望んでいる。つまり、TPPと言ってもアメリカと日本の二国間貿易意問題なわけです。だったら、日米FTAのほうを優先すべきでしょう。自民党は概ねその考えです。
ひとつ言っておきますが、国家間の軍事同盟や関税同盟はあっても、農業同盟はありえない。TPPでは、オーストラリアとニュージーランド、アメリカの三カ国間が農業の自由化問題でかなり対立しているはずです。そんなややこしいものに日本が加盟しても苦労するだけでいいことないと思いますよw