きのう「たかじんのそこまで言って委員会」という東京では見られない番組で話題になったことだが、放送に出るかどうかわからないので、ちょっとメモしておこう。

日本の政治報道が「政局報道」でしかないのは丸山眞男以来、指摘されていることだ。その一つの原因は政治が政策で動いていないからだが、もう一つは記者が政策を理解していないからだ。記者クラブのローテーションは半年単位で、1~2年でクラブを転々とし、5年ぐらいたったら地方に転勤する。40歳すぎると管理職になるので、取材しているのはほとんど政治に素人の30代のサラリーマンなのだ。

これはマスコミだけではなく、日本のほとんどの会社と同じだ。日本人は転勤というのは当たり前だと思っているだろうが、外資ではトップクラスの幹部を海外法人に派遣するような戦略的な人事にしか見られない。IBMは例外的に転勤があり、社名は"I've Been Moved"の略だという冗談もあった。その原因は、一時期までのIBMは社員を解雇したことがなかったためだ。長期雇用と転勤は補完性があるのだ。

その第1の理由は、業務がなくなっても解雇できないため転勤で対応しなければならないこと、第2は処遇を平等化することだが、第3の理由は社内の人間関係を定期的にリセットすることだ。サラリーマンなら誰でも経験すると思うが、いい上司にめぐりあうことは少ない。たいていは1年ぐらいすると上司の顔を見るのものいやになるが、「こいつと付き合うのもあと数年だ」と思うから我慢する。転勤は、長期雇用によるストレスの安全弁になっているのだ。

記者の場合には、取材先との癒着も問題だ。特に政治部や経済部の記者は毎晩のように高級料亭で接待を受け、かなりきわどい付き合いをする。このため一つの派閥にずっとついていると、読売の某主筆やNHKの島元会長のように派閥の構成員になってしまうので、定期的に持ち場を変えるのだ。だから深い取材ができず、政策について勉強もしていないので、政治家の噂話を記事にするしかない。

このように長期雇用の都合で専門知識を犠牲にする人事システムが、日本企業をだめにした大きな原因だ。IBMも80年代に倒産の一歩手前まで追い込まれて終身雇用をやめ、ピーク時に40万人いた社員を転勤ではなく解雇して、20万人まで減らした。おそらくそれぐらい強烈なインパクトがないと、日本の会社も変われないだろう。