この設立趣意書によると、日本経済は次のような状態だそうだ:
経済というのはモノとお金のバランスによって成り立っています。しかし、お金の供給を長いこと怠ってしまうと、そのバランスが崩れ、お金が極端に不足します。すると、人々はモノよりもお金(紙幣=印刷された紙)に執着する現象が発生するのです。この現象がデフレです。
「お金が極端に不足」するというのは、資金需要が供給を超過するということだが、この場合は(お金の価格である)金利が上がるはずだ。しかし今、長期金利は1%を切る水準で、日銀の政策金利は事実上ゼロである。これは資金が供給過剰になっているということにほかならない。この趣意書を書いた人物には、この程度の初歩的な経済学も理解できないらしいから、ていねいに説明しておこう。

図のように金利は資金需要と通貨供給が均衡する水準で決まるので、通貨供給を1から2へ増やせば金利は下がるが、ゼロ以下には下がりようがない。これは通貨供給が需要を絶対的に超過していることを示す。つまり日本経済は、X*のような状態にあるわけだ。ここで3のように日銀が量的緩和をしても、何も起こらない。不足しているのはお金ではなく、資金需要だからである。

ここに署名している(数少ない)マクロ経済学者である岩田規久男氏と浜田宏一氏は、この趣意書を読んだ上で署名したのだろうか。だとすれば「お金が極端に不足」しているとき、どうして金利がゼロに張りついたままなのか、教えていただきたいものだ。