VHF帯の「マルチメディア放送」についての非公開のヒアリングが、きのう行なわれた。来年7月の営業開始予定から逆算すると、とっくに電監審の答申が出ているはずだが、業者の「懇談会」が終わってからも6月に「公開ヒアリング」が行なわれ、7月14日の電監審には諮問できず経緯を報告するだけという異例の結果になり、今度また非公開でヒアリングだ。いったい何があったのだろうか。

関係者によると「電波部はドコモに免許をおろそうとしているが、ドコモは降りたがっている」とのことだ。先日の記事でもふれたように、この話はもともと電波部がクアルコムを締め出すために2.5GHz帯と「バーター」でドコモを引っ張り込んだ筋の悪い話だった。

ISDB-Tmmと名前は地デジ(ISDB-T)に似ているが、周波数が違うのでアンテナや半導体を一から開発しなければならない。そのコストから考えると、月300円で1000万台が採算分岐点だが、ワンセグの売り上げは落ちており、販売奨励金がなくなって買い換え期間が延びたこともあいまって、1000万台は不可能というのが社内の意見らしい。そこでドコモは電波部に「降りたい」と泣きを入れたのだが、電波部に「ドコモはあれだけもうけたんだから、少しぐらいの赤字は負担しろ」と逆に説得されたそうだ。

アメリカ大使館もこの問題に強い関心をもっており、対外的に説明のつかない理由で外資を落とすと、外交問題に発展するおそれもある。他方でドコモグループに入っている民放は「外資に免許を出したら番組は提供しない」と脅す――という板ばさみになり、困った電波部は果てしなくヒアリングを続けているわけだ。

官僚が民間企業の「ビジネスモデル」やら「財務状況」やらを審査する電波社会主義は、先進国に例をみない日本の恥だ。こんな茶番はもうやめて、民主党も提案しているように周波数オークションで決めてはどうか。「電波法の改正が必要なので時間的に無理だ」というのが電波部の言い訳らしいが、いったん免許をおろすと10年は取り戻せない。半年ぐらい遅れても、誰もが納得する方法で決着をつけたほうがいい。

15MHzあれば1000億円以上の免許料が取れ、アナログ放送終了にともなうチューナーなどの経費もまかなえて一石二鳥だ。そしてオークションなら、どんな結果が出てもアメリカは文句をいわない。