当ブログやASCII.jpなどで批判してきたVHF帯の「マルチメディア放送」について、あす公開説明会が開かれることが決まった。火曜に発表して金曜に開催する異例のスケジュールで、何かがあったことをうかがわせる。

VHF帯には、最初は60社ぐらい手を上げた(私もその1社の企画書を書いた)が、民放が「われわれの跡地だから放送局が使う」と主張し、電波部が一本化した。しかしクアルコムだけが残り、これをつぶすためには基地局を建てられるコモンキャリアが必要だということで、電波部がフジテレビからドコモに声をかけさせ、2.5GHz帯とのバーターでドコモを引っ張り込んだ。

テレビ局にとっては、どうせ電波はタダだから、VHF帯に競争相手が参入しないことが重要なので、押えておいて使わなくてもかまわない。こういうmarket foreclosureは、BSデジタルなどでも彼らのとった常套手段である。

しかしISDB-Tmmというのはワンセグとは似て非なる規格で、周波数が違うのでチップもできていない。先月ドコモの開催した説明会は、座る場所もない狭いブースで、モックアップもなしにスライドを見せるだけだったという。こんな特殊なサービスを開始しても、ドコモ以外のキャリアはサポートしないし、30チャネル程度の有料放送では採算がとれないことは、解散したモバホの示す通りだ。

総務省の技術ナショナリズムは、結果的にはガラパゴス化を促進して、縄に首をかけている携帯ベンダーの足を引っ張った。省内でも、課長級以下では「このまま電波鎖国を続けていると携帯業界が壊滅する」という危機感が強いようだが、局長級以上はPDC以来、日の丸の旗を振り続けてきたので、今さら引っ込みがつかない。

しかし業界が壊滅する一歩手前になると、総務省の「日の丸戦略」を手伝うために端末を開発するお人好しのベンダーはいない。ドコモの力をもってしても、無理は通せなかったということだろう。総務省が外資を排除しようとした疑惑については、アメリカ大使館も関心をもっている。電波のタブーから自由なウェブベースのメディアは、ぜひ取材して、この「公開美人投票」を監視してほしい。