オバマ政権の打ち出した金融規制案が論議を呼んでいる。テクニカルな点はともかく、マサチューセッツ州でまさかの敗北を喫した直後に「銀行バッシング」ともいうべき規制案が出て、バーナンキの再任が危うくなってきたことに政治的なにおいをかぎとる向きが多い。Mankiwは政権のインサイダーからの次のようなEメールを紹介している:
経済学を医学と考えると、現状は基礎医学では非常に高度な理論や臨床試験が行なわれているのに、肝腎の医者が心霊医学を使っているようなものだ。学問が研究者の自己満足と出世競争の対象になり、医者のトレーニングがろくに行なわれていないから、彼らは患者の望む「痛みのない治療」を好む。そこに「カンフル(財政)ははいくら投与しても大丈夫」とか「モルヒネ(金融)で病気がなおる」などという連中がつけこむわけだ。
しかし医学の場合には、心霊医学でごまかしていると、最後は患者が死んでしまう。経済の場合にも、いずれそういう時はくるだろうが、かなり先だ。この時間差が4年以上あることが、ポピュリズム・バイアスの一つの原因である。これを防ぐには、晩年のハイエクが提案したように、「行政院」(現在の議会に近い)とは別に、任期15年の「立法院」を設けて長期的な視野で考える必要があるのかもしれない。
But it seems like Wall Street is interpreting this as "Summers, Geithner, and Bernanke are on the way out because Obama has finally decided to go populist." Honestly, that is truly not right, though I can see how from the outside it would look like it.オバマ政権も、不況や格差を「小泉・竹中改革」のせいにして経済学者のアドバイスを聞かない日本の民主党と似てきた(このメールは違うと主張しているが)。直接規制は短期的には効果があるように見えても、長期的には市場の機能を阻害して経済をだめにする、という経済学者の「地動説」は、どこの国でも近視眼的な「法律家の正義」に勝てないようだ。
経済学を医学と考えると、現状は基礎医学では非常に高度な理論や臨床試験が行なわれているのに、肝腎の医者が心霊医学を使っているようなものだ。学問が研究者の自己満足と出世競争の対象になり、医者のトレーニングがろくに行なわれていないから、彼らは患者の望む「痛みのない治療」を好む。そこに「カンフル(財政)ははいくら投与しても大丈夫」とか「モルヒネ(金融)で病気がなおる」などという連中がつけこむわけだ。
しかし医学の場合には、心霊医学でごまかしていると、最後は患者が死んでしまう。経済の場合にも、いずれそういう時はくるだろうが、かなり先だ。この時間差が4年以上あることが、ポピュリズム・バイアスの一つの原因である。これを防ぐには、晩年のハイエクが提案したように、「行政院」(現在の議会に近い)とは別に、任期15年の「立法院」を設けて長期的な視野で考える必要があるのかもしれない。




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コメント一覧
念のため解説しておくと、このEメール自体は「世の中ではオバマ政権がポピュリストに転換したと見ているが、そうじゃない。これは数ヶ月にわたって検討してきた案だ」と主張するものです。しかし議会がそう考えて行動すると、self-fulfilling prophecyになります。特にバーナンキの再任が拒否されると、大混乱になるでしょう。
経済学に対して素人が抱く地動説的な胡散臭さ、拒否反応は経済学というネーミングが悪いのではないでしょうか?
経済学≒医学という比喩表現では、何か経済学的知識が直接社会の病を治すのに役立つ、という印象になってしまいます。貨幣統計学とか、流通統計学みたいな名称に変えると、素人にも経済学のはたす役割や限界、使命が直感的に理解できていい気がします。
Eメールは、 オバマが急にポピュリストになったというウォール・ストリートの解釈は誤りだといっています。 またマンキュウ氏もEメール
の見解に同意しているようです。
オバマ政権の金融規制案に対してドイツやフランスはまだなまぬるいといった意見のようですが、 「銀行バッシング」という意見もイギリスやアメリカの投資家筋にはあります。 イギリスやアメリカの大銀行のいくつかは、 この一年の間に政府保証のゼロに近い金利の融資金を投資することにによって多額の利益をあげました。
不況の最中には、 大銀行は「つぶせるならつぶしてみろ」と、 政府保証の融資をせしめていたようにもみうけられました。
こうしたことを、 規制すべしというのがボルカー氏の永年の意見のようです。
>任期15年の「立法院」
なるほど、日本でなら、天皇になんらかの弱い政治的権利を与え、大日本帝国の枢密院を復活した方がいいのではと思いました。
今の20歳が選挙権を持った時点でいきなり960兆の債務を背負った国民にされた憤りを成人式で爆発させても当然だと感じます。今の国民主権には生まれてくる次世代の権利が守られていません。「生まれてきてもいない人間がどんな権利を主張するかわからない」という意見を天皇家の歴史や血統の継続性など頼りに「過去の歴史を振り返って次世代はこういう権利を主張する蓋然性がある」という部分の代弁者としての天皇を確立できるのではないかと思います。
「司法・立法・行政」にくわえて「経済」を新設しますか?笑(一応日銀は独立してますが)
政府の経済政策がおかしいと思えば、国民は「最高経済裁判所」に訴えることができる。で、超難関の「経済試験」と「経済修習所」をトップクラスの成績で突破してきた「最高経済官」がその適否を判断すると。罷免はされず、誰かが70才の定年を迎えるたびに、次に任命されるのが「保守派」か「リベラル」かで為替相場や株式市場が敏感に反応する…。
経済学者の考えが大体共通しているのなら、試験合格者の中から選挙で選んでもいいですが、あんまり待遇を良くしすぎると自説を曲げて、ポピュリズムに走る可能性も…。
シュンペーターのいうエリート民主制に近いでしょうか。大衆には政策判断はできないが、有能なエリートを選ぶことはできる。どうでしょうか。それなら試験合格者からくじ引きでどうか(こっちはルソーかな)。
アメリカ財政赤字、1兆4000億ドルに
http://d.hatena.ne.jp/T_Nomar/20091008/p1
とりあえずオバマ政権を支持する。ありもしないサダムフセインの大量破壊兵器を言い立てて
イラク戦争を引き起こした横暴なブッシュ政権と比べれば、日本人の一人として好感が持てる。
医療改革も難航しているようだが、理念的には戦争よりは福祉ということで賛同したい。
いやもしかしたら医療改革も金融規制も逆効果で、経済失速&オバマ退陣になるかもしれないが、
そうだとしてもそれもそれまでのこと。あちらの国民が決めたあちらの政権のことだから
あちらの好きにすれば良いことだ。この地球上に理想的な自由主義経済など存在しない以上、
とにかく試行錯誤しながらいろいろやるだけやってみるしかない。
鳩山政権については麻生政権よりは多少ましと思う。スパコンにしても日本航空にしても、
麻生政権では取り上げなかったが鳩山政権では一応国会で取り上げて議論してるから。
いくら小さい政府を掲げようがレーガンやブッシュは財政赤字を拡大させたのだし、
政府の小さい大きいの指標も不明だしどちらが良いとも悪いとも言えない。
>経済学を医学と考えると・・・
そもそも感冒の意味や発生原因すらわかってない医学は極めて幼稚です。外科くらいにしか使命はない。経済学者は大抵、腰が低し税金で生きていないぶんまだましでしょう。経済学は直観に逆らうから、自尊心旺盛なインテリ層に嫌われるだけです。大衆が経済学をバカにするのは大歓迎だが、インテリ層は自分の首を絞めるだけです。
倫理観や共感は家族やcivicやcommunityが醸成すべきで、なんの役にもたたない既成宗教も何をやっているのかと。そういうのに見逃された人間につけ込んで新興宗教とかオカルト医学とかが今は大人気です。
まともな医者なら投薬には慎重で、アメリカは一人当たりの投薬量は先進国で一番少ない。日本の多くの医者は医療保険強制をいいことにバンバン投薬する官許殺人業です。