2009年12月13日 01:28

この10年の本ベスト10

イノベーションのジレンマ―技術革新が巨大企業を滅ぼすとき (Harvard business school press)雑誌には「今年のベスト10」が載る季節になったが、ここでは範囲を広げて2000~09年の10年間のベスト10を選んでみた。私の週刊ダイヤモンドの書評も、まる10年になった。来春には「経済書のブックガイド」を出す予定。原書を除いてリストアップすると、
  1. クリステンセン『イノベーションのジレンマ』
  2. コルナイ『コルナイ・ヤーノシュ自伝』
  3. ネグリ&ハート『帝国』
  4. グライフ『比較歴史制度分析』
  5. タレブ『ブラック・スワン』
  6. アカロフ&シラー『アニマルスピリット』
  7. デリダ『マルクスの亡霊たち』
  8. 中山信弘『著作権法』
  9. レッシグ『コモンズ』
  10. アンダーソン『ロングテール』
1は今や古典になったが、これを日本で世に出したのは私の書評だった、と訳者に感謝された。2は社会主義という壮大な悲劇を経済学者が分析した感動的な本。3も9・11以後の状況を語る上で定番になった。5も版元の副編集長に感謝された。ポストモダンの巨匠もほとんど世を去ったが、7や『生政治の誕生』などは今でも重要な問題を提起している。8は唯一の日本人の著書だが、著者の情熱をもってしても既得権の壁は厚いようだ。9と10は、インターネットを理解する上での必読書。

上のリストの本の多くは、原著が出たとき取り上げたものだ。当ブログは編集者によく読まれているようなので、次の本はぜひ訳してほしい:
  1. Tirole, The Theory of Corporate Finance
  2. Gali, Monetary Policy, Inflation, and the Business Cycle
  3. Mankiw, Macroeconomics [7th edition]
  4. Boldrin-Levine, Against Intellectual Monopoly
  5. Bhide, The Venturesome Economy
  6. Sen, The Idea of Justice
1は企業統治理論の決定版。「株主資本主義」を批判する人は、これぐらい読んでほしい。2はDSGEの教科書としてはコンパクトでわかりやすく、3はそれを学部レベルで解説したもの。これと6は今年出たばかりだから、そのうち訳が出るだろう。



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トラックバック一覧

  1. 1.

    ここは酷い防波堤釣りですね

    東京新聞:茨城、防波堤釣りの3人不明 波にさらわれ転落か:社会(TOKYO Web) http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2009121301000321.html 同情できんなー そんで遺族が港湾管理者訴えたりしたらw 【茨城】 立ち入り禁止の鹿島港防波堤に進入し、釣りをしていた16人を...

  2. 2.

    【読書メモ】使える経済書100冊 池田信夫

    今年38冊目。満足度★★★☆☆ 経済学者でアルファブロガーでもある池田信夫氏の経

コメント一覧

  1. 1.

    池田先生、
    最近、中国での著作権の話を自分のブログに書いて以来、著作権についていよいよ疑惑が募っていたのですが、先生のお勧め本にあったBoldrin-LevineのAgainst Intellectual Monopolyをちょっとのぞいて見て、やっぱ私も間違ってはいないみたいと思えるようになりました。2007年の新版の方をのぞいたのですが、ワットの蒸気機関からエイズの新薬の話まで、オオ~なるほど・・・と思いながら拾い読みしました。
    できることならこれを翻訳してみたいです。亡くなったサミュエルソンのおかげで経済学は数式の羅列になってしまいましたが、こういう平易な書き方の本なら訳せるかもしれない・・・などと野心が涌いてきます。
    でもデリダの「マルクスの亡霊たち」の訳者みたいに14年もかかっちゃうと「訳者の怠慢には、強く反省を求めたい」などと書かれそうなので悩みます。
    話は飛びますが、日本の政官界に残るテネシーヴァリーの幻想もイジワル爺さんのデリダが言うみたいに「死せるすべての世代の伝統が夢魔のように生けるものの頭脳を押さえつけている」というわけでしょうか。また飛びますが、deconstructionを「脱構築」って言うのはヒドイ翻訳だと思うのですが・・・
    趙秋瑾 





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