毎度のことながら、来年度予算の国債新規発行額をめぐって鳩山内閣が迷走している。10日に平野官房長官が「上限は明記しない」と発表したのに対して藤井財務相が反発し、11日に菅副総理が「市場は44兆円を織り込んでいる」と発言し、結局、首相が「努力目標」に格下げした。

しかし国債発行額などという数値目標には意味がない。今のままでは一般会計の歳出95兆円に対して税収が37兆円だから、差し引き58兆円の政府債務が発生する。そのうち44兆円を国債とし、残りのうち10兆円を特別会計の「埋蔵金」でまかなうことになっているが、これは国債の償還原資の先食いだから債務としては同じこと。44兆円にこだわっているのは「麻生政権より多いのはかっこ悪い」という無意味な基準である。

本質的な問題はそんなことではなく、まもなくGDPの2倍を超える政府債務が維持可能なのかということだ。ロゴフなども指摘するように、日本の財政はすでに破綻しており、いずれ(おそらくインフレという形で)債務不履行が起こることは避けられない。それを避けるにはプライマリーバランス(PB)の赤字をせめて半減させる目標を立てろとIMFは勧告しているが、鳩山政権はPB黒字化の目標を棚上げしてしまった。

来年度予算を立てる前に、まず長期的な財政安定化の計画を立て、それにそって歳出規模を決めるべきなのに、自民党政権の予算にバラマキ福祉をまるまる上乗せして史上最大の予算をつくってしまった。それを埋め合わせるために補正予算の執行停止や事業仕分けで4兆円以上を捻出したのに、バラマキ補正7.2兆円で帳消しになった。「15ヶ月予算」で考えると、102兆円という恐るべき規模に膨張してしまったのだ。

それなのに、補正予算を閣議決定してから「44兆円」などという無意味な数字をめぐって閣僚の発言が二転三転する。こんな辻褄を合わせるのは簡単だ。埋蔵金を14兆円出せばいいのである。高橋洋一氏の計算によれば埋蔵金は140兆円ぐらいあるから、この程度はお安い御用だ。ドタバタのあげく「埋蔵金の増額」で決着し、民主党はますます財務省に頭が上がらなくなる、というシナリオを主計局は描いているのではないか。