ゼロ金利との闘い―日銀の金融政策を総括する日銀の政策をめぐるメディアの反応をみていると、まるで10年ぐらい前に戻ったような既視感をおぼえる。当時も「日銀の量的緩和は物足りない」「もっと大胆な姿勢を示せ」といった論評一色だった。また同じような勇ましいコメントをしている自称エコノミスト諸氏には、せめて本書ぐらい読んでほしいものだ。

本書が出版されたのは5年前だが、デフレとゼロ金利をめぐる理論的・実証的な研究をほぼ網羅的にサーベイしている。著者は日銀の審議委員だったので、「日銀理論」のバイアスはあるだろうが、彼もいうように日銀はそれなりに努力してリフレ的な政策を実施したのである。ただ、この種の政策には次のような問題点がある:
  • ゼロ金利になると、それ以上マネタリーベースを増やしてもマネーストックは増えず、インフレ率に影響を及ぼさない
  • 日銀がインフレ予想に影響を与えるには、一時的なマネタリーベースの増加ではなく、長期にわたって持続的に増加させるコミットメントが必要である
  • しかしこうした政策の結果、インフレが起こったら日銀はマネタリーベースの増加を止めるので、永遠にインフレが続くことはありえない
したがってKrugmanのいうような素朴な人為的インフレ政策は時間非整合的であり、市場を攪乱するだけである。そこで日銀が採用したのは、デフレを脱却しても持続的にゼロ以上のインフレが続くまで緩和を続けるという時間軸政策だった。これはWoodfordなどが提案した「修正テイラールール」と実質的には同じであり、一定の効果はあったというのが著者の実証分析による評価である。しかし「もっと激しくやれ」という声がつねにある。これに対して、著者はこう答える:
資源配分への悪影響、中央銀行の財務状態をへの配慮等を無視してよければ、デフレの克服はたやすい。財を大量に購入して廃棄するということを続ければ、デフレは止まる。中央銀行が政府の代わりに公共投資を大量に実施しても同じである。あるいは大量に株式を購入し、株主としてその企業に設備投資を命じることも考えられる。

なぜこうした政策を実施しないかといえば、1、2%のデフレのコストは、自動車やパソコンを大量購入して廃棄するコストに比べれば小さいと考えられるからである。大恐慌時のような10%を超えるデフレのときには、こうした政策も検討対象になろうし、現実に実施されもした。ただし実施主体は中央銀行ではなく、政府であった。国民に大きな負担が発生するかもしれないような政策は、投票によって選ばれている政治家が決めるものと考えるべきだろう。
(pp.185-6)
今回、日銀が行なう量的緩和も当時とほとんど同じもので、効果は限定的だ。「長めの金利をゼロに誘導する」ことによる緩和効果はあるが、日銀が金利の期間構造に介入することで金融市場のリスク配分をゆがめる。また国債を日銀が引き受けることは、財政規律を失わせる。コストなしでデフレを撃退する「フリーランチ」はないのである。

「日銀はバランスシートが毀損することを過度に恐れている」という批判は当たっている面もあるが、現在の日銀法では日銀が債務超過になった場合にも政府が救済することはできない。日銀が破綻を覚悟でオペを続けることは、狭義の金融政策を超える財政政策の一種であり、財務省と協議して首相の決裁を得た上で行なうべきものだろう。


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コメント一覧

  1. 1.
    • sting_32
    • 2009年12月02日 11:47

    本当に10年前に戻ったみたいですね・・・結局日銀が量的緩和で金融機関に直接資金供給しても、民間企業側の需要がないのですよね・・・
    だから金融機関の資産の多くが国債に回っているわけで・・・白川総裁はこのことしっかりと分かっているようです。現段階ではデフレギャップを埋めるため、政府支出の拡大こそが望ましいのでは??肝心の政府は事業仕分けで政府支出を削っているわけですが・・・

  2. 2.
    • sting_32
    • 2009年12月02日 18:30

    日本の個人資産は1400兆円あって政府の借金を加味してもトータルでプラス。なので赤字国債はわざわざ日銀に買ってもらわなくても個人資産から吸い上げればいいのではないか?といつも思っております。この考えに対する池田先生の見解をお聞かせ願えないでしょうか?

  3. 3.
    • jestemneko
    • 2009年12月02日 20:15

    鳩山内閣も日銀に無理強いはしていないですね。大正解でしょう。亀井さんも日銀バッシングはしないようなのでホッとしました。

    http://www.nikkei.co.jp/news/main/20091202ATFL0207H02122009.html

    政治の話をしますが、改選数が非改選数より多い、公明党の選挙協力がない、みんなの党に食われる、等々の理由により来年の参院選は自民党が惨敗する可能性は大きい。重要なのは再来年の統一地方選です。今のところ、民主党の都道府県議員数は自民党の2分の1以下、党員数は20分の1以下です。もしも再来年の統一地方選で大躍進することになれば、民主党はやりたい放題になるでしょうね。
    逆に言えば、再来年の統一地方選までは、民主党は大きな冒険をしないと思いますし、小沢さんが突出する場面もないでしょう。自民党は、来年の参院選後に総裁選をもう一度しないといけないですね。

  4. 4.

    政府が「財を大量に購入して廃棄」し続けるというのは、すなわち戦争ですよね。

    戦争まで覚悟できれば、日本が経済的に没落して焼け野原状態になることも怖くないかもしれません。

  5. 5.
    • sting_32
    • 2009年12月02日 21:48

    >>furusatochanさん 

    ”政府が「財を大量に購入して廃棄」し続ける”とのことですが、我々の使われていない資産が公共投資に使われれば、必ずGDPに反映されます。そしてそれは我々の所得として戻ってくるのではないですか??無駄な道路建設などにはもちろん反対ですが、例えば地震で逃げる際の体育館の耐震補強、産業が全くない地方に対するインフラ投資、スパコン、バイオ、再生医療など次世代テクノロジーに対する投資なども無駄なのでしょうか??

    また”廃棄”とおっしゃられましたが、お金は燃やさない限り消えることはありません。個人が支出しない代わりに政府が支出することで、マネーが国内をうまく循環していくのではないでしょうか??私の考えはやはり間違っているのでしょうか?違っていればご指摘をお願い致します。




  6. 6.
    • jigokuhen
    • 2009年12月02日 22:28

    >>2
    個人の負債を勘定しないのは危険。住宅ローンなど個人もそれなりに借金があり、300兆円程度ある模様。1100兆が実質の個人資産。なので、860兆ほどある国の借金は地味に危険水位。年間30~40兆ほど増え続ける債務を考えると6、7年で危機的な事態を生むにも関わらず、現状でこの景気。

  7. 7.
    • jestemneko
    • 2009年12月03日 00:55

    日本は個人資産がこれだけあるとか、国債はほとんど内債だから大丈夫だとか、そういう人が多いですね。自民党政権時代に、政府紙幣だの無利子国債だのを発行しろと言ってた人たちの中に多かったように思います。でも、そういう人たちほど、国債の償還期限が60年になってしまっているということや、国債が借換債になってしまっていることをぜんぜん知らない。ご自分が経済の専門家だと言っていながら、ひどい無知なのに唖然としたことがあります。
    しょうがなくて、「市場は国家に外在するものですか、国家に内在するものですか?」という質問をしました。まともな返答はなかったですね。
    民主党政権が救いなのは、鳩山さんや菅さん、小沢さんが「市場は国家に外在する」という考えをしっかり持っていることでしょう。官僚や過去官僚は、たいがい、「市場は国家に内在する」と思っている。こういう連中は本当に厄介です。

  8. 8.
    • ysrobins
    • 2009年12月03日 01:52

    5
    ニクソンショック、プラザ合意、前回、今回と、日銀はほぼ十年周期で同じような金融政策をやっている。物凄くザックリ言うと、円高になると金融緩和。で過剰流動性からバブルが起きると。

    ただし今回に関しては、金融専門家の間では「ポーズ」的な受け止めが多く、大勢に影響は無い感じがします。むしろ「日銀のポーズ」に気付かず文句を言わない民主党政権側が、要するに「わかっていない」という印象。これはマスコミも同じですが。

    これまで一度も「円高に対応できる構造を構築し、来るべき資源・食料不足時代に備える」などという戦略的政策が無く、高度成長の惰性で来てしまった日本。今回は亀井大臣とは違う意味で目が覚めるでしょうか。

  9. 9.
    • fk2002742
    • 2009年12月03日 06:58

    日経ネットplusでの竹中さんや高橋洋一さんの著書を見る限り、このままずっと平行線でしょうね。

    むかし日銀擁護にまわった与謝野さんが「もう規制緩和なんかするところはない」とか言ったり、ナンセンスな金利・成長率論争をぶちあげたりして、日銀のイメージが悪くなったという行員もいますよ。

    須田さんとか水野さんが動きまくって、鎮圧するしかないのかな。池田さんが委員になるほうがよりいい。

  10. 10.

    jogokuhenさん、海外に投資されている200兆円(池尾和人先生のダイヤモンドのコラムより)が計算されていないようです。これを計算に入れると残りは100兆円になります。片山さつき前議員も自身のブログでキャパ120兆円と言っているようです。多少のへそくりが有ったにしても、40兆円を超す国債を発行したら、5-6年も待たずに金利の高騰が来るのではないでしょうか。国債離れを目指していた西川さんに代えて、斎藤元次官を据えたのも無関係ではないと思えるのです。

  11. 11.
    • sting_32
    • 2009年12月03日 12:38

    >>jigokuhenさん
    いわゆる隠れ負債ですよね。でも、個人に300兆円の隠れ負債があるのであれば、その分企業側に300兆円の隠れ資産が出てくるのでは??また、国の年金債務が500兆あるといわれていますが、これとつりあうだけの隠れ資産が個人側に500兆出てくるだけでは?一度拠出したお金は消えないわけで、国内を循環しているだけなのではないでしょうか??

  12. 12.
    • sting_32
    • 2009年12月03日 12:56

    >>jestemnekoさん
    ”国債の償還期限が60年になってしまっているということや、国債が借換債になってしまっていることをぜんぜん知らない”とのことですが、長期国債を短期の借換債で変換しているということは、国内で永遠に消化できる仕組みが成り立っているのでは?
    結局政府が発行した赤字国債、建設国債、借換債などは全て民間の金融資産になるので「政府の赤字拡大=民間の金融資産拡大」ということで、政府は借金を借金で返済し、民間は運用先がないので預金として国債を購入し、返還期限が来ればまた借換という仕組みでぐるぐる回っているのではないでしょうか?

  13. 13.
    • sting_32
    • 2009年12月03日 13:02

    >>yokozeiさん
    ”海外に投資されている200兆円”とのことですが、これは対外純資産のことですか??日本は現状で海外から300兆円の借入れがあり、570兆円くらい貸しているので、対外純資産は世界最大規模です。これは問題ないと思うのですが・・・
    それと、あと6年くらいで財政破綻するというのであれば、なぜ長期金利が1%台という世界史上最低水準なのですか?

  14. 14.

    sting32さん、私は経済の専門家ではないので間違っていたら悪しからず。国内の預貯金は、国債、企業への貸付、海外投資、その他で運用されているのでしょう。現在はまだ国内資金によって国債が消化されているから低い金利となっているのだと思います。さらに国債発行が増えると海外資金に頼るか、企業に融資している資金を引き上げるか、海外に投資している資金を引き上げるか、いずれにしてもそれ以上の利回りを提示しなければ国債を消化できなくなるのではないでしょうか。

  15. 15.
    • jestemneko
    • 2009年12月03日 21:30

    お願いがひとつあります。この本を読んだ方がおられたら、感想を述べてください。私は読みたくないですw

    http://www.amazon.co.jp/%E6%B0%B8%E7%94%B0%E7%94%BA%E3%83%93%E3%83%83%E3%82%B0%E3%83%90%E3%83%B3%E3%81%AE%E4%BB%95%E6%8E%9B%E4%BA%BA-%E4%BA%80%E4%BA%95%E9%9D%99%E9%A6%99-%E5%B0%8F%E5%AD%A6%E9%A4%A8%E6%96%87%E5%BA%AB-%E5%A4%A7%E4%B8%8B-%E8%8B%B1%E6%B2%BB/dp/4094030514%3FSubscriptionId%3D18ZPQ1BFSCJEDKETW3R2%26tag%3Dasahicom-news-kanren-22%26linkCode%3Dxm2%26camp%3D2025%26creative%3D165953%26creativeASIN%3D4094030514

    「亀井さんに金融がわかるのかよ!」と言いたいですよw

  16. 16.
    • sincosintan
    • 2009年12月03日 22:11

    「国債どんどん買え」のような拙速な議論をする最近の人たちは、もう20年近くも不況が続いているのだから過去の業績を渉猟するくらいの手間をかけてもいいと思います。何も海外の先端研究でなくても、「ゼロ金利と日本経済」(深尾・吉川編)や「金融政策の論点」(岩田編)で大概の論点は出尽くしています。遡れば「不況の経済学」(小野善康、93年、古い)で既に流動性の罠についての鮮やかな考察がされています。スタンプ貨幣や資産課税とかも当時から言及されていました。彼の分析はDSGEとかの「今風」ではないけれど、よほど説得的です。しかしこの十数年の経験は、細かい論点はともかく財政政策にはほぼ効果が無く、むしろ資源配分の深刻なゆがみと膨大な財政赤字を残したことを明確にしました。そのツケで長期金利の自由度がなくなってしまい、金融政策も手段が極めて限られてしまっています(どちらにしても中央銀行がイールドカーブを操作すること(ツイストペ等)はうまくいった試しが無い)。白川総裁の掛け声は立場上やむを得ないのでしょうが、彼の選択肢は想像以上に少ないと思います。

  17. 17.
    • jestemneko
    • 2009年12月03日 23:02

    sting_32さん、あなたはぜんぜん分かっていないと思う。もしもあなたが経済の専門家なら、そのような経済専門家は迷惑です。

    国債の大部分が借換(かりかえ)債になってしまっている。しかも、借換債で借換債を償還するという、わけのわからないことまで起きている。つまり、借換債がメタ国債になってしまっている。このままでは、借換債はメタメタ国債やメタメタメタ国債になるかもしれない。メタの増大に比例して金利問題が大きくなり、国債は貨幣価値を喪失します。こんなのは、資料を見れば分かることです。
    諸悪の根源は小渕内閣にあるのですが、具体的には60年債などという無謀です。60年債はまさに土建国家を象徴している。土建国家の悲惨さは、赤字の地方空港を見るだけで十分です。
    国債が貨幣価値を喪失すれば財政が破綻します。政府はデフォルトかハイパーインフレのどちらかを選択することになるでしょう。私は、デフォルトしてもハイパーインフレを阻止すべきであると考えますが、むずかしいと思います。

  18. 18.
    • sting_32
    • 2009年12月04日 00:21

    >>yokozeiさん”現在はまだ国内資金によって国債が消化されているから低い金利となっているのだと思います。”とのことですが、基本は「国債価格の下落=国債金利の上昇」「国債価格の上昇=国債金利の下落」ですよね。つまり「内国債だから長期金利が上昇しない」ということではなく、内国向けに発行した国債発行額よりも多くの資金が入札に回れば国債価格は上昇(=金利低下)し、国債発行額よりも少ない資金が入札に回れば国債価格は下落する(=金利上昇)と解釈しています。最近の麻生政権だけ振り返って見ますと、確か前政権より大幅に国債発行額が上回っていたと思います。それにも関わらず長期金利は下落しました!「国債を吸収できるお金が民間になくなったらアウトなのでは?」という話はよく耳にしますが、5で述べたようにお金は消えないので、政府が支出した分のお金は民間企業、金融機関、個人などのどこかに資産として戻ってくるはずです。こうしてお金が日本国内でぐるぐる回っているものと解釈しております。

  19. 19.
    • sting_32
    • 2009年12月04日 00:46

    >>jestemnekoさん
    実は私は専門家ではありません(笑)独学で勉強しているだけなので、どんどん議論して自分の考えが間違っているのかどうかを確かめたいです。ということで、引き続き私の意見を・・・・
    「借換債がメタメタメタ国債になって貨幣価値を喪失してデフォルト」とのことですが、日本の次に内債比率の大きいイギリス(確か70%くらい内債)、そして日本並みのGDP比で大きな借金のあるイタリアなどが、この20年間ずっと財政赤字を拡大してきて、未だにデフォルトしていないのはなぜなのでしょうか??これらの国の長期金利は日本よりずっと上です。(アメリカは基軸通貨ドルという反則技を持っているので無視)

    もっと議論を続けたいので、どこか場所を移動できませんでしょうか?ぜひお願い致します。

  20. 20.
    • sting_32
    • 2009年12月04日 01:14

    >>jestemnekoさん
    付け加えですが、借換債をいくら発行しても、結局国内で資金が循環する限り長期金利は低く保たれるのではないでしょうか?何度か書いていますが、政府が借りて財政出動したお金が消えることはありません。どこかに資産として蓄えられるはずです。
    ちなみに日本が「財政危機だ、破綻する」といい始めたのは1995年の大蔵大臣の○○さんからのようですが、そこから14年間、日本国家の財政赤字は約2倍に膨れ上がっているのにも関わらず、長期金利は当時と比べ大きく下落している(=国債価格が上昇している)現象に対してはどのような説明が成り立つのでしょうか??

  21. 21.
    • jestemneko
    • 2009年12月04日 05:16

    sting_32さん、私は、「市場は国家に外在する」と考える新自由主義者ですが、だからこそ、よく似たようなことを言いながら「市場は国家に内在する」と考える市場原理主義者を非難してきました。専門家ではないので、感覚でものを言うしかないのですが、それはハイエクとフリードマンのちがいであり、古くはアダム・スミスとリカードのちがいであるかもしれません。あるいは、マルクスやエンゲルスが考える社会主義と社民党や共産党が考える社会主義のちがいかもしれません。私は、あなたのような人が政治に悪影響を与えるのをいつも憂慮しています。

  22. 22.
    • jestemneko
    • 2009年12月04日 05:22

    私は、イギリスやイタリアも60年債を発行しているという話を聞いたことがありません。そして、借換債はまさにその60年債のメタ国債になっているのです。専門家ではないので、相関関係は分かりませんが、国債金利と通貨金利は無関係ではないでしょう。それを無視して長期金利を語ってもしょうがない。日本の場合、長期金利が上昇すれば即財政破綻です。日銀は非常に狭い裁量幅の中で公定歩合を調整しているはずです。しかし、メタ国債やメタメタ国債が増えれば手に負えなくなると考えます。
    金融のメタクラスは憂慮すべきことです。私は経済素人ですが、デリバティブの破綻から学ぶべきものは、まさにそれであると考えます。そして、借換債は公的なデリバティブと言っていい。

  23. 23.

    sting32さん、おっしゃるとおりお金は世の中を巡りまわって何処かにあるはずです。その結果、高々70数兆の日銀券が1,400兆の預貯金になっているのだと思います。これが国と地方の債務800兆、企業の債務300兆、海外投資300兆(池尾和人先生のコラムより)をまかなっているのだと思います。国債を買うのは金融機関大部分を占めていると思うのですが、預貯金という金融機関にとっての負債を増やさずに、国債という資産をふやすことはできないはずです。これができればB/Sが狂ってしまいます。間違っていたら、教えてください。

  24. 24.

    海外投資200兆の誤りです。

  25. 25.
    • sting_32
    • 2009年12月04日 16:06

    >>yokozeiさん
    ”国と地方の債務800兆、企業の債務300兆、海外投資200兆”というご指摘は正確です。私もインターネットで調べました。私の考えでは、国と地方の債務800兆というのはそのまま金融機関の資産になり、企業の債務300兆というのは、国民の資産と考えます。海外資産については15で書きました。

    「個人資産1400兆円」というところしか書かなかったので誤解を招いたかもしれませんが「国と地方の資産と民間金融機関の資産がいくらあるのか?」という部分が抜けていると思います。細かい数字は後ほど・・・

  26. 26.
    • truf
    • 2009年12月04日 22:04

    sting_32さんは例の作家と言ってることが同じですね。
    http://www.youtube.com/watch?v=QmRz77q6tXY

    それに対する反論はずいぶん前に池田さんがしています。
    http://blog.goo.ne.jp/ikedanobuo/e/7738117aa87f8c7440194642e6d31f03
    また『希望を捨てる勇気』の5-6章にも詳しく書いています。

    国債については池尾教授の
    http://www.vcasi.org/node/542
    http://www.rieti.go.jp/users/iio-jun/discussion/03.html
    くらいは読んでいただきたい。誰もデフォルトするとは言っていません。

    国債を発行してデフレギャップまで財政政策をすれば日本の経済問題は解決すると思っているようでしたら
    http://blog.goo.ne.jp/ikedanobuo/s/%BA%E2%C0%AF%C0%AF%BA%F6
    を読み返すべきです。

  27. 27.
    • sting_32
    • 2009年12月05日 02:00

    >>trufさん
    資料ありがとうございます。勉強させていただきます。いつの間にか「日本は財政破綻する」という議論になってしまったので、それが話題になってしまいました。

    ”国債を発行してデフレギャップまで財政政策をすれば日本の経済問題は解決すると思っている”とのことですが、実際は思っていません(笑)実際にやったとしても、小渕内閣の時おように一時的に上向くだけだと思っています。ただこのままだとデフレが加速していくだけなので、最低限の財政出動はするべきかなと思っています。財源は内国債にするのか、政府紙幣にするのか、日銀に買取ってもらうのか、どれが一番いいのかは分かりませんが・・・




  28. 28.
    • sting_32
    • 2009年12月05日 02:08

    >>jestemnekoさん
    おそらくjestemnekoさんがおっしゃりたいことをまとめると「内国向けに国債を発行し続けていくと、国債の価値が下がっていき、やがて紙切れになって返済もできなくなってデフォルトする」ということだと思います。
    ただ、麻生内閣が大幅に国債発行額を増やしたとき、国債価格は上昇した(=長期金利は下落)んです。つまり国債発行額以上の入札が入ったということです。

    これが示しているのは「内国向けの国債発行額がどれだけ増えても、それを吸収できるだけの潤沢な資金が国内にあれば、永久に吸収できる」ということではないでしょうか?

    借換債を借換債で返還することになっても、結局先に返済のための資金を調達してから返済をしているはずなので、国債の返還年数がぐちゃぐちゃになっていたとしても、問題はないのではないでしょうか?

  29. 29.
    • jestemneko
    • 2009年12月05日 09:30

    sting_32さん、

    >ただ、麻生内閣が大幅に国債発行額を増やしたとき、国債価格は上昇した(=長期金利は下落)んです。つまり国債発行額以上の入札が入ったということです。

    60年債や借換債が少なければそうなる。しかし補正予算でやれても本予算では無理。60年債や借換債というのは奇妙国債。とくに借換債はたいがい60年債のメタ国債なので付け替えができない。償還しな場合は「借換債の借換債=メタメタ国債」を発行することになる。日本の国債発行額を異常に大きくしたのがまさにこれ。
    あなたは、たぶん、経営者さんですね。経営者さんには、算数がお上手でも数学を知らない人が多いと言うか、数学的な構造解釈のできない人が多いと思います。「ゲーデル、エッシャー、バッハ」という本がありましたが、ああいう本を読んだ経営者さんはいないでしょう。私も読んではいませんがw
    私の屁理屈を聞くより、現実を見るほうが分かりやすいと思います。60年債というのはたいがい建設国債なんですが、それで赤字の地方空港をたくさんつくったわけですよ。大赤字の関空を国家資産と言う人はいないと思う。

  30. 30.
    • truf
    • 2009年12月05日 10:14

    sting_32さん。デフレギャップを埋めても効果は一時的だが、最低限の財政政策をやらないとデフレが加速するとは矛盾した話ですよね。どこまでが加速を止め、どこからが一時的なんでしょうか。

    「内国向けの国債発行額がどれだけ増えても、それを吸収できるだけの潤沢な資金が国内にあれば、永久に吸収できる」というのはトートロジーですが、

    「内国向けの不動産がどれだけ増えても、それを吸収できるだけの潤沢な資金が国内にあれば、永久に土地の値段が上がる」

    というバブルのロジックと似てると思いませんか?池尾教授は国債バブルだととらえていますし、多くの人が預金を活用すれば国債の引き受け手がなくなり遠くない未来に暴落すると認識しています。資産の話にもこだわっていますが、国債を投入してできた国の資産はいったいどのようなものでしょうか?

  31. 31.
    • sting_32
    • 2009年12月05日 13:45

    >trufさん
    デフレギャップについてはちょっと置いてもらえますか(笑)まだ勉強中です。
    ”多くの人が預金を活用すれば国債の引き受け手がなくなり遠くない未来に暴落する”という話はよく聞きますが「預金を活用する=何らかの形で消費される」ということなので「消費に使われた預金はどこかの企業のお金となる→その企業に勤めている人の所得となって戻ってくる」という流れになり、結局国内にある限り、消えることはないんじゃないでしょうか?
    ただし「取り崩された預金が全て国債を引き受けるお金となって戻ってくる」とは考えられません。なので、基本的には「国債引き受けにまわせるお金は減少していく」と認識しています。

  32. 32.
    • sting_32
    • 2009年12月05日 13:45

    >>truf さん
    ただ「国債引き受けにまわせるお金は減少していく」となると、国債入札の段階で長期金利が大きく変動するはずなので、日銀が黙っていないと思います。国債価格を調整するために何らかの措置に出るはずです。例えば、最近やったように金融機関へ資金供給すれば、その資金で金融機関が国債を入札することができます。
    この流れだと「国債の発行量が増える」「マネーサプライも増える」ということで一見危険ですが、結局「日銀が刷ったお金が民間需要として市場に出回らず、国債入札に回ると国債価格が維持されるだけ」というのが福井総裁の時の量的緩和で証明されているのではないでしょうか?

  33. 33.

    sting32さん、一つ追加しておきたいのですが、国債を買う原資は預貯金だけでもありません。他の負債、又は自己資本も含まれます。ただ、国債を買うために増資することはないと思いますので、残りは他の負債ということになると思います。しかし、1.3%程度の国債利回りで利益を出すような資金調達は、日銀借り入れ以外にないでしょう。日銀がむりやり低金利で市中銀行に資金をを押し込み、尚且つ、5~6年後も日本経済、世界経済がデフレ状態で,他に資金需要、有望な投資先がない時は、金融機関は国債を買わざるを得ないかもしれません。

  34. 34.

    つづき、その意味では、量的緩和の一環で日銀当座預金に資金を押し込むのは、国債価格を維持するため(金利の上昇を防ぐ)には意味があるかもしれません。ただし、後に景気が回復し、他に資金需要が出てきた時に、国債を売買目的有価証券で経理していると大きな損失を計上することになるでしょう。多額の国債を持っている郵貯はどうなのでしょう。

  35. 35.
    • sting_32
    • 2009年12月05日 14:42

    >>trufさん
    バブルに関してですが、私のバブル崩壊の考えとしては「事前に何らかの事件が発生する→マーケット参加者の心理が不安になりキャッシュに換えようとする→投売りが始まって暴落する」といった流れです。
    国債バブルの崩壊をまだ見たことがないのではっきりしませんが、日本国債が暴落するとしたら「投売り」の部分は少なくともないかなと・・・あとは「市場に出回る国債の量が増えすぎて価格が暴落する」というのは何度も書いたとおり、それを吸収できるだけの資金があれば価格は永久に維持されると思うわけです。

  36. 36.
    • sting_32
    • 2009年12月05日 19:07

    >>yokozeiさん
    おっしゃる通りです。まるで「預貯金が全て国債購入に回る」みたいな話になっているところがありましたね(笑)
    とりあえず日銀が無担保コール先物などの金利を調整していけば「日銀貸出で金融機関の準備預金拡大→有望な投資先がないのである程度利回りのある国債を購入→国債価格維持」という図式が成り立つのだと考えています。

  37. 37.
    • sting_32
    • 2009年12月05日 19:57

    >trufさん、jestemnekoさん
    何度か出てきた「政府の資産」についてなのですが、最近の「日銀資金循環統計」によると 金融機関などへの貸付金:約220兆
    現金や預金:約20兆 有価証券等:約100兆
    となっており、最低でも300兆くらいはあるはずです。(不動産などは統計に入っていないはず)
    これに対して政府の負債が800~900兆くらいなので、トータルで考えると大体500~600兆が純負債になるのではないでしょうか?

  38. 38.
    • truf
    • 2009年12月05日 21:11

    sting_32さん

    「それを吸収できるだけの資金があれば価格は永久に維持される」

    財政再建はそれを目指すわけで、裏を返せば吸収できる資金(と国債購入の意志)がなければ価格は維持できないわけです。預金を取り崩しても民間に渡ると言いますが、不動産や企業の設備投資に使われれば流動性はなくなります。それらを販売した企業は全額預金して遊ばせるわけはありませんし、給与はその一部です。

    そもそも「国債引き受けにまわせるお金は減少していく」という認識であれば「それを吸収できるだけの資金」が減っていくわけですので、国債発行は減らさなければ「永久」は成り立ちません。このままの財政と成長率で永久に同規模の国債を消化し続けることは不可能です。政府や日銀が対策できるのは事実ですが、国債の問題を別の問題に変えるだけで消え去るわけではありません。

    sting_32さんが言う「永久」の話はトートロジーですが、国債発行をこのまま続けても永久に吸収されると思っているのですか?その根拠は国債の金利なんですか?

  39. 39.
    • jestemneko
    • 2009年12月06日 00:57

    sting_32さん

    >これに対して政府の負債が800~900兆くらいなので、トータルで考えると大体500~600兆が純負債になるのではないでしょうか?

    関空は大阪の負債ですが、大阪はどこに対して債務を負っているのかと言えば、結局、国に対して債務を負っているのではないかと思いますよ。私は、運輸政策はよく知らないのですが、食糧政策や資源エネルギー政策ではそのようなケースがあるのを知っています。
    日本政府が保有する債権なんて、不良債権だらけでしょう。だいたい、米国債がもはや不良債権でしょうからね。

  40. 40.
    • jestemneko
    • 2009年12月06日 01:12

    政府内では、資産のクラス分けがぜんぜんできていないのです。しかし、これは日本政府に限ったことではないですね。通貨発行権を保有する主体は、あまり迷うことなくキャッシュに還元してものを考えてしまうところがある。国家とはそういうものでしょう。

    sting_32さんは経理屋さんのようですね。経理屋さんにクラスの考えがないとは言いませんが、あらかじめ決められた基準でのクラス分けしかやれないでしょう。現実に即応したクラスの基準を発明するのは、やはり経済学者でしょうね。

  41. 41.
    • sting_32
    • 2009年12月06日 02:16

    >>trufさん
    もし「国債引き受けのための資金が減ってやばくなる」のであれば「日銀貸出で民間金融機関の準備預金拡大」を行えば、また国債引き受けの資金ができると考えます。

    また「金融機関に国債を購入する意思がなくなる」となれば、政・官が民に働きかけて、無理やり購入させることも可能なのでは?

    現に三菱UFJのモルガンスタンレーに対する出資には政府の命令があったようですし、リーマンブラザーズを見捨ててメリルリンチをバンカメに合併吸収させた背景には、ポールソン財務長官をはじめとした政府の働きかけがあったと報道されています。(AIGも)

  42. 42.
    • sting_32
    • 2009年12月06日 03:19

    >>yokozeiさん
    国債はとりあえず満期まで持っていれば額面が保証され、利子も受け取ることができるので、ゆうちょの資産が時価で目減りしてもさほど問題はないと考えます。
    ただ、これは国有化のゆうちょであればの話です。そろそろ郵政の株が上場されるので、WallStreetが動き出します(笑)
    そもそも日本に郵政民営化をやらせる計画はアメリカのシンクタンクで普通に研究されていたことらしいです。日本人だまされやすすぎです(涙)そしてだまされてもまだ気づいていない(怒)

  43. 43.
    • jestemneko
    • 2009年12月06日 09:29

    sting_32さんのような人が政治に悪影響を与えるせいでこういうことが起きてしまうのです。

    http://www.nikkei.co.jp/news/main/20091206AT3S0501E05122009.html

    JALは破綻処理するしかないでしょう。この7000億の血税は、結局、不良資産に化けてしまう。ところが、政府は自身が保有する資産を、それがどのようなものであれ、「不良資産」とは言いません。それをいいことに「政府には債権がこんなにあるから国債をもっと発行せよ」との意見がまかり通る。
    リーマンショック後にFRBの資産が急増しましたが、ほとんどが不良資産でしょう。しかし、それを笑えない。日本は財政面で多額の不良資産を抱えているのです。私には、経理屋さんにそういった部分を読み取る力量があるとは思えません。

  44. 44.
    • truf
    • 2009年12月06日 19:36

    日本は経済大国ですのでsting_32さんの言うような、国債の購入強制で問題をしばらく先延ばしすることは可能でしょう。現状でもそういう側面があると思います。しかしそのうち銀行や通貨に対する信用は失われるでしょうし、それを阻止すれば国債の税金化になります。そうして強制的に政府に信用を与えてどのような国家を目指すのでしょうか?どんなに国債を発行しても財政破綻しない国家ですか?そのために失うものは何でしょうか?

    政府には徴税権も立法権もありますから破綻を避ける方法は多々あるでしょうが、トレードオフを考えなければ意味はありません。金融社会主義を拡大すれば国の利益になるとお考えなのですか?

  45. 45.
    • sting_32
    • 2009年12月07日 16:53

    >>jestemnekoさん、trufさん
    議論が飛びそうなのでとりあえず財政についてまとめておくと「内債で破綻することは食い止められる」というのが私の考えです。
    trufさんのおっしゃるとおりで、このまま財政赤字拡大を続けるのはよくありません。「デフレ=貨幣価値の上昇=政府の負債価値の上昇」なので、これがあと何十年も続くようであれば、内債で破綻することはなくても、マーケットがよくない方向に動いていくでしょう。




  46. 46.
    • sting_32
    • 2009年12月07日 16:59

    ただ、これは「このままデフレ低成長が永久に続く」と仮定した場合だと思います。インフレになってくると「政府の負債が増える」ことの意味が大分変わってきますので・・・
    とりあえずこの議論はここで終了するとして・・・
    あとはイギリスのここ200年間くらいの財務状況を調べてみると、いろいろ面白いことが見えてきます。今後の日本の参考にもなると思います。

  47. 47.
    • jestemneko
    • 2009年12月08日 06:47

    sting_32さん、これは大間違い。

    >内債で破綻することは食い止められる

    三流の経済屋さんや経営屋さんには国家を超越的なものとして考える傾向がある。国家は、具体的なものとして考えないといけない。国有資産なるものは、その大部分が不良資産であると考えていい。国債の価値を担保するものは、国家の徴税権や通貨発行権であり、いわば「権力」なのです。国債の大量発行は経済活動の重圧となり、やがてハイパーインフレという破綻を引き起すと考えるべきです。





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