鳩山首相もこの数字について「大変ひどい数字だ。何でこんな日本にしてしまったとの思いの方も多いだろう」とコメントしたそうだが、彼はその意味がわかっているのだろうか。OECDの発表しているのは相対的貧困率で、これは国内の家計所得の中央値(メディアン)の半分に満たない世帯の比率を示す指標にすぎない。絶対的貧困率でみると、次の図のように、日本の下位20%の人々の所得(紫色の面積)は最大である。

この図の説明にも書かれているように、「日本の貧困層は世界でもっとも豊かである。日本の下位20%の人々の所得は、他の地域の最貧層の7倍以上である」。相対的貧困率が高いのは、高齢化によって無収入の老人が増える一方、若年層で非正社員や独身世帯が増えているからだ。日本は所得保障を企業の長期雇用や福利厚生で行なってきたので、こうした「企業依存型福祉システム」から排除される人々が増えたことが問題を深刻にしている――というのは前の記事でも書いたとおりだ。
貧困率を減らす政策として、朝日新聞は「若者への社会保障の強化」を提唱しているが、そういうバラマキ福祉は、財政破綻の危機に瀕している現在の日本ではもう限界だ。サラリーマンは人生を会社に捧げ、会社は社員の面倒を老後もずっと見る日本型福祉システムをやめて個人を会社から解放し、個人単位で最低所得を保障する負の所得税のようなシステムに変えていくしかない。




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コメント一覧
もう一つ感じる問題点は、この貧困率は家計所得=収入の話のみであって、貯蓄を無視している事。
確か外国は余り貯蓄の習慣が無いため収入が断たれると即食っていけなくなるが、日本は働かなくても世界的には豊かな生活をしている人が結構います。
そういう点を無視して、「豊かな国の収入分布だけ」=貧困というのは余りにも短絡的だと思いますね。
>サラリーマンは人生を会社に捧げ、会社は社員の面倒を老後もずっと見る日本型福祉システムをやめて個人を会社から解放し、個人単位で最低所得を保障する負の所得税のようなシステムに変えていくしかない。
このように明確に述べられているのを見て、大変心強く思います。
多くの人が偽りの希望を捨てて新たな希望を見いだす契機になればと思います。
それにしても、この相対的貧困率で不安を煽るのはひどい話ですよね。何も難しい話ではないのだけれど、目を引く見出しを作る材料くらいにはなるということなんでしょうか。
私はこの手の話を見るたびに森永卓郎氏の顔が目に浮かんでしまいます。
貧困率での所得計算は世帯の可処分所得を世帯人数の平方根でわったものなので家族4人
の場合で所得300万円以下が貧困層に分類されるそうです。家族4人で一月25万円の家計
を「貧困層」とするのは一般的な感覚とは乖離があります。また日本では年金世帯が増えてま
すから2人で200万円以下の年金収入だと「貧困層」になります。引退組の場合は金融資産が
1億円でも5億円でも貧困層に分類さる場合もあるわけでOECD定義の貧困率だけを取り上げて
貧困を論じるのは無理があります。
マスコミの役割は表面的な内容の裏にある事実を明らかにして広く知らせるべきですが、逆に事実
を隠蔽して誤った認識を土台にして世論を誘導することが常態化してます。
生活保護の母子加算復活の議論でも医療費などの社会保険料、公共料金で優遇されてて毎
月27万円の「悲惨な母子家庭」などと演出していますが逆に生活保護世帯のセレブぶりが広く
知られる結果となっています。
マスコミもバカではないので実態は分かっているのでしょうが、なぜ日本が悪くなるような方向に世論
をミスリードするのか私には分かりません。
OECDが発表した相対的貧困率のデータなんて周知のものだと思っていたので
今回の相対的貧困率の発表で騒いだ人がいたのには驚きました。
そういう人たちは、これまでも知りえた情報を知らなかったわけですから、
天下国家を語りたいという願望が強くても実は貧困問題には興味がない人たちだったんでしょうね。
そして、そういう人が多かったこと自体が日本の貧困がまだ深刻でない証拠でしょう。
もっとも私のようなこれから就職という人間には無関心ではすまない話ですが。
絶対的な貧困ということでは、下のような資料はどうでしょうか。
http://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/databook/2009/09/p271_t9-4_t9-5.pdf
少し古くて、今はもっと酷くなっているような気もしますが。
調査するならならこっちのほうだろう、と思います。
負の所得税に関しては、中川秀直氏らが導入を訴えていますね。
これは社会的セーフティネットとして機能するものだと思います。
あとは池田先生の仰るとおり、流動的な真の労働市場を育てる。
それによってしか、現状の閉塞感は打破できないと考えます。
http://www.nakagawahidenao.jp/policy/01.html
年功序列のような、若年層は低く、高齢者は高い給料の社会は、相対的貧困率は自動的に高くなる訳で、余り参考にならないはずなのに、このOECDのデータは良く出てきますね。
極端な例で、新卒採用の初任給が同じで、1年毎に1万円昇給する給料体系の社会とすると、20歳で入社、65歳で定年とした時43歳が中位で、その半分は31歳の給料。(年金生活者は除外できたとすると)この社会の貧困率は25%となります。このように年功序列の社会は、OECDの貧困定義では自動的に高い値になるはずです。
年齢給的体系を持たない欧米と比べること自体がおかしいわけで、その解説をしないマスコミとか無批判に引用する学者とかが問題ですね。
>5 joniasさん、
負の所得税に類する制度は、現在の鳩山政権も検討しているようです。
【新税調初会合で首相指示 環境税 給付付き税額控除 納税者番号】
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/mnews/20091009-OYT8T00304.htm
経済的貧困のみを問題にするにしても、「経済力があれば幸せを感じるはずだ」というアバウトに掴むしかないことが根本で、統計手法で精密にしていけるにしろ、目安は目安を越えることはない。
統計上の意味はともかく、日本で『自分は貧困だ』と感じる若者が多い理由は何なのだろう?
もっとも、本当に多いのかは分からない。統計の問題に戻ってしまうが、仮定として貧困を感じる人々がかつてより増えたと認めるとして。
都会で非正規で働いてワーキングプアに陥るより、ちょっと田舎で最低賃金を貰った方がマシな気がするが、そうならないことは理由があるのでしょう。
大企業正社員へのあこがれとか、大企業文化に触れていたいとか…?
そういった心理的な面での分析も雇用対策には必要なのでしょう。
相対的貧困率っていう直訳名称がわるいです.収入格差率なら皆がすっきりするかな.
貧しくても食うに困らない日本,羨ましい国です.
世界の貧困について。
多くの人は、自分のことしか考えられない。
管理職になれば会社のことを考えるかもしれない。
経済学者の多くと政治家は、自分が住んでいる国のことを考える。
では、世界レベルでの格差の調整とかは誰が考えて調整するのが良いのでしょうか。
NGOは、競争原理が働いていない感じだし、科学者の未来予想もイマイチだし。
ここはやはり、経済学者が考えてくれるのが良いように思うのですが、でもせっかく考えても誰もリーダーシップを取って実行してくれないかな?