このところ毎年おかしな受賞者の続いているスウェーデン銀行賞(通称ノーベル経済学賞)だが、今年は一段と不可解だ。Oliver Williamsonは妥当なところだが、Elinor Ostromというのは、いわゆる「コモンズ」の実証研究をやっただけで、その結果は繰り返しゲーム(フォーク定理)で簡単に説明できるのに、独自の変なゲーム理論で説明しようとするため、わけがわからない。経済学者の引用数リスト上位1000人にすら入っていない。「最初の女性」というのが重要だったのかもしれない。

授賞理由は「経済的ガバナンス、特に企業の境界の研究」ということだが、これならWilliamsonと共同受賞すべきなのは、明らかにOliver Hartである。彼の"Firms, Contracts, and Financial Structure"は、契約理論を大きく前進させた名著で、企業理論や金融理論にも大きな影響を与えた。ノーベル賞なんて学問的価値とは無関係なので、ガバナンスを勉強したい人は、このHartの本を読むべきだ。