原口総務相は、情報通信政策を検討する直轄の専門家チームを発足させるそうだ。メンバーはまだわからないが、原口・内藤の「業界べったりコンビ」の人選では、2006年に迷走して失敗に終わった竹中懇談会よりひどいものになるおそれが強い。

原口氏が力を入れている「日本版FCC」は、多くの専門家も指摘するとおり「2周遅れ」の改革だし、NTT再々編についても原口氏は「再統合」の方向をめざしているようだ。こういう組織いじりから入ると、竹中懇のような混乱に陥る。通信規制はちょっとした変更でも数千億円の利害がからむので、ロビイングで飯を食っている人々が(役所も入れて)数百人いるからだ。

目的は役所やNTTの組織をいじることではなく、インフラは立派なのにサービスは世界から大きく立ち後れ、機器メーカーは滅亡に瀕している日本の情報通信をどう立て直すかであり、そのためにもっとも重要なのは競争の促進だ。絶対やってはいけないのは、先週、原口氏が南米に行って地デジ(ISDB-T)を「南米標準」にしようとしたり、未来のない日の丸技術XGPを無理やり美人投票で選んだりする技術ナショナリズムである。

だから規制部門と産業振興を切り離すのではなく、産業振興は廃止すべきなのだ。やるべき規制は競争政策に限られ、これを独禁法と別の法体系でやる理由はない。ただ現在の公取委には通信の専門家がいないので、総務省から専門家が転籍すればいい。この観点から考えると、問題はNTTの組織ではなく、競争が機能しているかどうかであり、FTTHとLTEなど次世代無線とのプラットフォーム競争が実現すれば、NTT問題などというものが無意味になる可能性もある。

この点でもっとも緊急の問題は、電波政策である。特に周波数オークションより重要なのは、UHF帯のホワイトスペースだ。ここでFTTHに匹敵する広帯域の公衆無線が実現すれば、NTTを規制する必要もなくなるかもしれないが、日本は標準化作業に参加もしていない。総務省はホワイトスペースをワンセグによる地域放送に使うとかいう話を進めているようだが、そんなことをしたら日本の無線技術も通信サービスも壊滅するだろう。