政権交代のドサクサにまぎれて、総務省は地デジに補助金900億円を投入する概算要求を出した。その内訳は、「受信機器購入等の支援」に338億円などとなっているが、こういう補助金は何を根拠に出すのだろうか。NTTドコモの第2世代携帯電話は2012年にサービスを終了するが、その端末をもつ利用者にも第3世代の「受信機器購入等の支援」は行なわれるのだろうか。

もともと電波法では、周波数は免許人に貸与されているもので、それを取り上げるのも移行させるのも行政の裁量であり、周波数の移行に際していっさい補償は行なわないのが原則である。携帯電話も含めて、すべての免許人は自己負担で周波数の移行措置をとってきた。ところがテレビ局だけは、アナアナ変換の1800億円をはじめ、「デジタルデバイド」や「エコポイント」などの名目で数千億円の補助金を得てきた。おまけに、また補助金の「おかわり」をしようというのだろうか。

このような特定の業者を優遇する補助金については経済産業省も批判しており、「デジタル・バウチャー」のような技術中立的な補助にすべきだという意見が自民党内にもあった。これはアナログ受信機をデジタル化する場合、CSやケーブル、あるいは光ファイバーなどすべてのデジタル受信機に使えるバウチャーを出そうというもので、今年の補正予算のときも検討された。ところがどういうわけか(おそらくテレビ局の反対で)、このバウチャー構想は消えてしまった。

民主党は概算要求をゼロベースで見直すそうだから、この不公平な補助金も白紙に戻し、地上波局だけを優遇するのではなく、インターネットを含む多様なインフラによってデジタル化を進める政策に転換すべきだ。日本版FCCなどという組織いじりよりも、「2011年対策」を抜本的に見直すことが緊急の課題である。