きのうの谷脇さんのICPFセミナーは、珍しく大盛況だった。かつて携帯電話の販売奨励金をやめる方向を打ち出し、キャリアはもうかりベンダーは泣いて「谷脇不況」などといわれた実力者の話だけに、業界の注目度も高かったようだ。

内容も、役所の話には珍しく率直だった。私が質問したのは「当初は既存9法をなくして情報通信法に一本化するという話だったが、NTT法はどうなるのか?」ということだったが、これについては「残る」という答だった。検討委員会の中間論点整理にも「NTT及びNHKの業務内容の在り方については、総合的な法体系の在り方に直接影響するものではないことから、本委員会の検討対象とはならない」(p.18)と明記されている。

もともとこの法案は、「NTT法のような特殊会社として規制するのは筋が悪いので、EUのようにレイヤ別に整理しよう」という発想で始まったのだが、竹中懇のあとの政府・与党合意では「NTTの再々編は2010年から検討する」ということになっていたので、両者の関係はどうなってるんだろうと思っていたのだが、やはり政府・与党合意のほうが強いらしい。

最大の抵抗勢力だった放送業界については、(予想どおり)ほぼ手つかずで残るようだ。有線テレビ法などインターネット時代に無用の長物になった部分は整理するが、地上波の水平分離は「各社の判断にゆだねる」ということになり、周波数オークションの話も消えた。ただ放送法が電気通信事業法と合体して「通信放送事業法」になり、9法が3法ぐらいになる程度の変更はあるかもしれない。

そういうわけで一部の業界筋のいっていたように、「既存の法律を残したまま基本的な考え方を書く『土地基本法』みたいなものになるのではないか」という観測は、当たらずとも遠からずといえそうだ。現状で政治や業界と利害調整すれば、こうならざるをえないだろう。特に大きいのはNTT法を別枠にしたことで、また「再々編戦争」が始まりそうだ。ただ「与党」が秋には変わる可能性があるので、それも含めて久々に通信業界はおもしろくなるかもしれない。