
- マーケットメカニズムを重視した伸縮的な労働市場をつくる
- 「企業が雇用を抱える」という戦後の雇用政策を転換する
- 政府が積極的にセーフティネットを構築する
- やみくもに雇用保険を長期化するとか、生活保護を積極的に認めるというように「保護する」というスタンスをとらない
- 正社員だけを政策的に優遇することはやめて、同一労働同一賃金という「普遍的な原則」にあわせた雇用政策を追求する
私の印象では、雇用問題は金融の問題と同根だと思う。リスク回避的な日本人のバイアスを制度的に補強し、人々がまったくリスクを取らないことが合理的になるような官民のシステムをつくってしまったのだ。だから日本社会が直面している問題は、リターンを考えないでリスクを最小化する特異な行動様式を変え、リスクテイクを促進するしくみをつくることだ。これは日本が資産大国として生きていく上でも重要だが、ほとんど文明的な問題で、短期間にできるとも思えない。しかし少なくとも政治家は、そういう問題の所在を認識してほしい。本書の救いは、厚労省の官僚も(本音では)問題を認識しているということだ。
日本人の「リスクを最小化する特異な行動様式」のおかげで、リスクをテイクする私のような人間が、楽に生きられる隙間が生まれているのかもしれません。
日本国自身が地盤沈下してしまうと、私の取り分も減ってしまうのは問題ですが。