SMAPの草彅剛氏が逮捕され、テレビ局は彼を番組やCMから外すなどの対応に大わらわだ。しかし彼の容疑は、深夜の誰もいない公園で裸になったことだけ。もちろんほめられたことではないが、誰かに向かって公然わいせつ行為を行なったわけではない。おそらく書類送検がせいぜいだろう。一般人なら、ちょっとした笑い話にすぎない。

こうした番組の内容と無関係な事件で放送を「自粛」する習慣は、昔はなかった。私の記憶では、自粛がひどくなったのは、1988年秋に昭和天皇が重体になったころからだと思う。あのときもNHKでは「皇室報道マニュアル」をつくって基準を決め、現場は「過剰報道や自粛はやめよう」ということにしていたのだが、いざ「危篤」(これは誤報だったのだが)という報道が流れると、マニュアルは吹っ飛び、「他社も自粛しているから・・・」という論理で、演芸番組などが軒並み中止になった。

この種の自粛には明確な基準もなく、「うちだけ突出するのはまずい」という事なかれ主義で、過剰反応が連鎖する。差別語などと同じく、サラリーマンが自分の頭で考えるのをやめて「コンプライアンス」に過敏になった「思考停止社会」の象徴だ。各局ともマニュアルをつくって、基準を決めたほうがいいのではないか。