Economist誌の雇用特集は、各国の失業問題と政策を比較している。
各国の雇用政策は、失業率にしばしば悪い影響を与えてきた。1970年代の石油危機以降、欧州諸国は解雇規制を強めて労働市場を硬直化した結果、「構造的」失業が増え、慢性的な失業問題に悩まされるようになった。これに対して、アメリカは労働市場を柔軟にすることによって労働者を救済する政策をとった。その結果、最悪のときは10%を超えた失業率は1982年には5%に減少した。解雇しやすい国は雇用コストが低いため、再雇用もしやすいのだ。

社内失業者を飼い殺しにする「労働保持」を奨励する政策は、短期的には労働者の救済に役立つが、長期的には労働生産性を低下させて構造的失業率(自然失業率)を高める。各国政府は70年代の失敗を繰り返すまいと政策を修正している。スペインやスウェーデンでは、社会保険の負担を減らすことによって雇用を維持しようとしている。一部の欧州の国では「ワークシェアリング」を導入している。イギリスは労働者保護よりも、職業訓練などの積極的労働政策に力を入れている。

最悪なのは、日本の政策だ。厚労省は正社員の過剰保護によって大量の非正規労働者が出ている「醜い現実」を直視せず、場当たり的な政策を続けてきた。労働保持する企業に補助金を与える「雇用調整助成金」は、労働市場の硬直性を高める愚かな政策だ。労働市場を柔軟にする改革は政治的には容易ではないが、遅かれ早かれ避けられない。残念ながら今回の失業問題は、短期に収まる見通しはないからだ。
日本の労働行政の奇怪な点は、派遣や請負などの問題ばかり騒がれ、もっとも悲惨な失業者の問題が論じられないことだ。「2009年問題」で15万人以上の派遣労働者が失業者に転落することが予想されているのに、厚労省は「直接雇用しろ」という建て前を繰り返すだけだ。90年代には、大蔵省が不良債権の醜い現実を認めるまでに5年かかった。今回もこうして時間を空費しているうちに「大失業時代」がやってくるだろう。