J-CASTニュースによれば、周波数オークションについて「総務省の課長補佐」が次のようにコメントしたそうだ:
電波は公共財なので、普通の商品とは違います。どんな事業者でもいいわけではありません。オークションには、デメリットがあり、コストが当然料金に転嫁されることになります。事業者が投資分を回収できず倒産すれば、その電波が無駄になってしまう恐れもあります。
このコメントは論理的に矛盾している。免許のコストを通話料金に転嫁できるのなら、事業者が「投資分を回収できない」ということはありえない。欧州で携帯事業者の経営が破綻したことは事実だが、それは免許料を料金に転嫁できなかったからなのだ。当ブログで何度も説明したように、免許費用はサンクコストなので、それを転嫁することは合理的ではなく、不可能だ。同じことを何度も書くのは面倒なので、前の記事を再掲しよう:
オークションで払う免許料は、賃貸マンション業者の買う土地のようなものだ。土地が値上がりしても、その地価が家賃に転嫁されることはありえない。相場より高い家賃をつけても、借り手がつかないだけだ。逆に、その土地を(相続などで)無料で仕入れたら、不動産業者は家賃を安くするだろうか。業者は相場と同じ家賃を取り、地価はまるまる彼の利益になるだろう。つまり料金は市場で決まるので、免許料は業者の利益に影響を与えるだけなのだ。
これは経済学を知らない高校生でもわかるはずだ。「課長補佐」氏は一応、公務員試験を通ったはずだから、この程度のロジックを理解できないことはあるまい。「事業者が投資分を回収できず倒産」するかどうかなんて、余計なお世話だ。業者はもうけようと思って応札するのだから、その思わくがはずれて倒産するのは自己責任である。免許料が高すぎるなら、落札しなければよい。問題は免許が使われないことだが、これは第二市場で転売すればよい。厳密な議論については、私の論文を参照されたい。

総務省は1.5GHz帯を、美人投票で既存4社に割り当てる方針だそうだが、いつまで電波社会主義を続ける気なのだろうか。オバマ政権でWerbachがFCCの委員になれば、ホワイトスペースの開放や周波数オークションを進めることは確実だ。日本の対応が遅れると、次世代の無線技術はまたアメリカにやられっぱなしになるだろう。どの技術がすぐれているかを決めるのは、役所ではなく市場である。

追記:英文ブログにも書いた。