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会見の全容が判明した。各社に教えてもらった要点は次のとおり(カッコ内は私のコメント)

  • 秘書宅に事務所を置いたことについて「議員会館では資金管理団体以外の事務所を置くことができず、次善の策として秘書宅を届け出た」と説明した。
    (これは26日の「落選中だったから」という釈明とは食い違う)
  • 政治団体の経費は「福岡事務所と国会の議員会館での経費だ」と明かし、秘書宅では政治活動が行なわれなかったことを認めた。
    (私の「幽霊事務所だった」という証言に太田氏も同意したわけだが、当初の「秘書宅で政治活動の実体があった」という説明は嘘だったことになる)
  • 印刷費の領収書には福岡のものもあり、太田氏は「印刷を福岡でやり、印刷したものを東京で使うこともあり得る。福岡で支出されているから、福岡だけに限定した活動ということはいえない」と釈明した。
    (後援会を従たる事務所ということにして、昔の領収書の中から「使える」ものを選んだのだろう)
  • 人件費については「東京や福岡県の事務所などを手伝った非常勤職員らに支払った」とか「議員会館の事務所にいる非常勤のアシスタントの給与」とか説明が二転三転し、プライバシーを理由に細かい説明は避けた。人件費の帳簿も個人名を伏せて閲覧させたが、領収証と帳簿ともにコピーについては農水相秘書官(中里氏)が「カンベンしてほしい」とかたくなに拒んだ。
  • 領収証については「9割を保存している。これだけあれば適格だろう」と胸を張ったが、「全部把握して答えているのか」「どの領収証がないのか」などと突っ込まれると、「(大半が残っていれば)適切だと思う」と次第にトーンダウン。領収証が残っている割合について「7割でした」と訂正した。
  • 領収証がない支出について、当初は「冠婚葬祭だ」と言ったものの、横から秘書が紙を渡し、「間違っていた。冠婚葬祭は含まれていなかった」と訂正した。
    (慶弔費が公選法違反だということも知らないで政治家やってるのか・・・)
町村官房長官は、午後の記者会見で「架空経費はなかった。何ら問題はない」とコメントしたので、官邸はこれで収めるつもりかもしれないが、後援会の経費を二重計上するのは架空経費である。民主党は、政治倫理審査会の秘密会で、この非常勤職員の氏名を明らかにするよう太田氏に要求し、その職員の所得税の申告記録を(国政調査権で)閲覧すべきだ。税務署の記録には雇用主が記載されているので、それが「育てる会」でなければ、収支報告書の虚偽記載として刑事告発に持ち込める。有罪となれば、閣僚辞任ぐらいではすまないだろう。

本質的な問題は、このようないい加減な会計処理を認める政治資金規正法だ。町村長官は「改正政治資金規正法でも人件費の内訳は求められておらず、何ら問題はない」と太田氏を弁護したが、それなら幽霊職員をつくれば経費はいくらでも水増しできる。民間企業については、ライブドアのように匿名組合で費目を変更しただけで「粉飾決算」として逮捕したり、J-SOX法ですべての社内手続きの文書化を義務づけたり、過剰規制が進められているのに、政界では幽霊事務所も幽霊職員も自由自在で、事務所経費はごまかし放題だ。政治活動をすべて文書化するよう義務づける「永田町SOX法」でもつくってはどうだろうか。

追記:人件費について、太田氏は150人のアルバイトの経費で、受領伝票は残っていないと説明した。税務申告との照合を逃れるためだろうが、そんな人数がこの秘書宅に出入りした事実はない。この150人の名前を割り出し、彼らに問い合わせれば、「育てる会」から給与をもらったかどうかはっきりする。彼らが後援会から謝礼をもらった支払調書が1通でも出てくれば、虚偽記載の動かぬ証拠だ。福岡の地元の新聞なら調べられるのではないか。