厚労省が「日雇い派遣の禁止」を御用学者の「有識者研究会」で決めた。この問題が急展開したのは、秋葉原の大量殺人事件のあとの舛添厚労相の発言がきっかけだ。彼はかつて「最大の敵はみのもんただ」とポピュリズムを批判し、貸金業規制の強化を批判していた。ところが今回は、自分が「みのもんた」になってしまったわけだ。年金の公約違反や後期高齢者医療をめぐる失態などで追い込まれ、秋葉原事件を利用して若者の人気取りをねらったのだろう。

今週の週刊ダイヤモンドも指摘するように、日雇い派遣の禁止は、かろうじて残っていた短期労働者の雇用チャネルを断ち切り、彼らの雇用をさらに不安定にするだろう。企業側でも、引越しのようなスポット雇用の多い業種では3割が廃業するだろうという。さらに貸金業法と同じように、違法派遣や二重派遣などの「闇」も拡大するだろう。

舛添氏は、日雇い派遣を禁止したら、企業が彼らを正社員にするとでも思っているのだろうか。企業は慈善事業ではないのだから、労働需要は同じコスト(以下)で雇えるアルバイトや請負契約にシフトするだけだ。単純労働への需要がある限り、短期雇用や派遣労働をなくすことはできない。問題は派遣業者の搾取や酷使などの違法行為であり、それを防ぐにはこうしたビジネスを禁止するより、合法化して公的に監視するほうが有効なのだ。

舛添氏もそれぐらいわかっているはずだ。しかし論理は学者にとっては重要だが、政治家にとってはどうでもいい。その意味で、彼も学者から政治家になったのだろう。いや、芸能人になったというべきか。