地球温暖化は「非問題」だと思うが、石油の枯渇は必ず起こる。石油連盟はそれが70年後だというが、これは「逃げ水」のように先送りされるので、現在のように原油価格が上がれば、もっと寿命は延びるだろう。それにしても有限であることは事実なので、その価格が上がることは長期的には望ましい。

温暖化にとっても石油の枯渇にとっても、ベストの代替案は原子力だろう。不幸な事故があったため、一時は原子力産業は壊滅したが、実際にはスリーマイル島は炉心溶融ではなかった。最大の炉心溶融であるチェルノブイリ事故は、黒鉛減速炉という古い技術で、格納容器もない裸の状態で操業していた。先進国の原子炉の安全設計は、これよりもはるかに高度なので、原子炉事故で死ぬ確率は隕石に当たって死ぬ確率より低い。

とはいえ人々のリスク態度は確率では決まらないので、炉心溶融が論理的に起こりえない設計にする必要がある。それは可能で、原子炉の出力を小さくし、オペレーターや緊急安全装置が作動しなくても、炉心の温度が上がりすぎると自動的に出力が落ちる受動的安全装置をつければ、冷却材が完全に失われても圧力容器が壊れない。

このようにモジュール化した「小石」のような燃料を数多く組み合わせるpebble bed reactor(PBR)とよばれる原子炉は、コンピュータの部品のように標準化できるので、コストも石油よりはるかに安い、とEconomist誌は報じている。南アフリカでは、2010年までにPBRを建設する予定だ。炉心溶融の心配さえなければ、小型の原子力電池も可能で、東芝はそうした技術を開発している。

放射性廃棄物の問題は残るが、これは技術的というより政治的な問題で、地球上に安全に廃棄できる場所はいくらでもある。その「廃棄権」を取引する市場でもつくれば、ロシアや途上国が喜んで買うだろう。

追記:IAEAなどの推計によれば、ウランの埋蔵量は200年以上ある。究極のエネルギーは核融合だが、これはいつ実用化できるかわからない。