サンフランシスコで開かれているSupernovaという会議に参加している。テーマは「モバイル」で、ノキアから無名のベンチャーまで、いろんな企業がプレゼンテーションをするのだが、日本ではもう商用化しているようなサービスが「イノベーション」として語られるのにはうんざりした。ところが日本の話は、まったく出ない。日本の携帯がいかに「ガラパゴス化」しているかを痛感した。

iPhoneについては、ほぼ全員が否定的だった。もう一つのテーマがsocial networkingなので、アップルの許可なしにアプリケーションの開発できないiPhoneは、若者にさえ「Blackberryのほうが自由だ」といわれていた。むしろグーグルのJoe Kraussに、Androidについて質問が集中していた。世界市場ではノキアのひとり勝ちで、途上国をほぼ手中に収め、キャリアまで兼ねている。日本の端末メーカーは技術力では最高水準なのに、下請け体質が抜けないため、海外では全滅だ。

レセプションで主催者のKevin Werbachと久しぶりに話したら、彼も「日本はどうなってるんだ?」と心配していた。彼の設立したLinkedInは「仮想ヘッドハンター」として急成長している。FCCの友人は、ドイツのベンチャーに転職していた。Saxenianもいうように、こういう人材の流動性がシリコンバレーの強みだ。しかし日本では、ブルーカラーの非正規雇用が増える一方、雇用規制が強まってホワイトカラーは会社に閉じ込められ、どちらもストレスを抱えている。今週のASCII.jpにも書いたが、日本経済のボトルネックはこの歪んだ労働市場だと思う。

追記:日本の携帯メーカーはだめでも、ウェブベースの携帯アプリは最先端だ。いま欧米で開発しているような3Gアプリは、たいてい日本にすでにあるので、それをソフトハウスが「携帯ゼネコン」の下請けとして開発するのではなく、独立して英語で開発して輸出すれば、アキバが「携帯のシリコンバレー」になれるような気もする。Androidがそういうグローバルなプラットフォームをつくる期待が強い。