ff7d7f53.jpgビジネススクールで経済学を教えるとき困るのは、ビジネスマンに役立つ日本語の教科書がないことだ。去年、ミルグロム=ロバーツを選んだら、他の先生と競合して驚いた。16年前に書かれたこの教科書がいまだにスタンダードになっているのは、経済学が袋小路に入っている状況を象徴している。

本書は久しぶりに登場した、日本語で読めるビジネスマン向けの経済学の教科書である。著者はゲーム理論でJ.B.クラーク・メダルを受賞した経済学者だが、この第1巻はオーソドックスなミクロ経済学だ。第2巻(邦訳は未刊)のほうがゲーム理論や契約理論など、著者の専門分野なので、経済学を一通り勉強した読者は、第2巻だけ読んでもいいだろう。「MBAのための」というタイトルは誤訳で、原題は"Microeconomics for Managers"だから、数学は初等的だ。文体はおしゃべり口調で具体的な事例も多く、読みやすい。