The Big Switchの訳本が出た。元記事で書いたように、cloud computingを実装しているエンジニアが読んで参考になるような新しいことは、何も書いてない。しかし私の経験でいうと、現場のエンジニアが「3年古い」と思うような話が、経営者の常識になるにはあと3年ぐらいかかり、役所はそのさらに3年ぐらい前の技術に予算をつけることが多い。

この分野で役所が力を入れているのは、レガシー技術と化したスパコンの戦艦大和日の丸検索エンジンだ。両方とも、現場のエンジニアは「もう勘弁してほしい」とか「こんなのに何年もつきあったら私のキャリアが台なしになる」といっているが、彼らを派遣しているITゼネコンは「補助金あさり」と割り切っている。グローバル市場で勝てないのだから、税金を食い物にするしかないのだ。

この現場と経営トップの認知ギャップの大きさが、日本のIT産業をだめにしている原因なので、cloud computingが日本語の単行本になったことに意味がある。IT企業の経営者は、この訳本ぐらい読んでほしい。そうすれば、グーグルがなぜChromeを出したのかがわかるだろう。それは単なるブラウザではなく、インターネットを並列計算環境にするためのプラットフォームなのだ。また霞ヶ関で情報通信産業を担当する官僚も読んだほうがいい。今からでも遅くないので、戦艦大和の建造はやめるべきだ。