グリーンスパンのベストセラーのペーパーバック版が発売され、それに新たにつけられたエピローグが話題を呼んでいる。リバタリアンの彼にしては珍しく、政府がS&LのときのRTCのような清算・債権回収機関をつくって「システム的な対応」をすべきだと論じているからだ。Economist誌にも概要が紹介されているが、エピローグだけで5ドルのeBookとしてもダウンロードできる。

FTもアナリストの同様の主張を紹介し、NYタイムズでWilliam Gruverも制度改革を提案している。FRBとSECがわかれているのは、1933年にグラス=スティーガル法ができたときの遺制で、銀行と証券の区別に意味がなくなった今日では、両方を合併して緊急介入の権限をもつ規制機関をつくるべきだという。

PIMCOの小関広洋氏は、日本の不良債権問題とサブプライムを比較し、前者がGDP比20~25%という巨大なダメージと10年以上の長期不況をもたらしたのに対して、今のところアメリカの損失は同5%程度にとどまるので、早急な対応をすれば90年代の北欧の銀行危機ぐらいの規模で収束できるとの見通しを示した。
日銀の白川総裁も示唆しているように、不良債権処理の失敗から日本政府は「財政と金融の分離」という誤った教訓を引き出してしまった。むしろ必要なのは、金融政策と銀行・証券の監督政策の一体化だったのである。金融庁検査と日銀検査が重複して行なわれる現状は、無駄が多いばかりでなく、ふたたび危機に陥ったとき、金融を緩和して不良債権処理をうながす日銀と問題を先送りする金融庁という、柳沢長官のときのような混乱状態になりかねない。

90年代の日本の失敗は、最初に東京の2信組や(住専の)農協系金融のようなもっとも救済すべきでない金融機関を救済したため、「公的資金」に対する国民の拒否反応が強くなり、「自助努力」にまかせた結果、危機が長期化したことだ。その間に地価は1/3になり、100兆円にのぼる純損失の大部分を納税者と預金者が(ゼロ金利で)負担し、「主犯」のメガバンクは生き延びた。アメリカの住宅価格は、まだピークの20%しか下がっていないので、今のうちにファニー・フレディを国有化し、リーマンやWaMuなどを一挙に処理すれば、ダメージは最小化できよう。

追記:このエピローグだけの邦訳が出た。