これはWMOの発表した、世界の主要な5観測機関の計測による先月まで約30年間の世界の平均気温を重ねた図である。各機関で計測方法に若干の違いがあるが、トレンドはほぼ一致している。1988年にIPCCが設立されたとき、最初のピークが記録されており、1990年(第1次報告書)および92年(第2次)に発表された彼らの黙示録的な予測は、これに影響されている。しかし、その後、平均気温は-1℃近く下がった。

1998年に最大のピークがあり、これがIPCCの第3次報告書(2001)で強調されたが、これは特異年で、その後10年で-1℃近く下がった。またIPCCの第4次報告書(2007)で強調された「1990年代以降の顕著な気温上昇トレンド」も、彼らの計測した2005年ごろから反転し、その後は下降している。結果として、今年なかばの平均気温は、1979年とほぼ同じである。この程度の変化は、長い地球の歴史の中では誤差の範囲内だ。

公平にみて、この変動はランダムもしくは循環的であり、単調なトレンドを読み取ることはできない。CO2は単調に増加しているので、このランダムな変動は人為的なものではなく、主として海流や太陽活動などの自然的要因によるものと解釈するのが自然だろう。特に中国などによるCO2排出が急増している2005年以降に-0.7℃も気温が下がっているのは、どう説明するのだろうか。洞爺湖に集まった政治家でも、この図が彼らの先入観と違うことぐらいわかるはずだ。1兆ドルもかけて「是正」すべき問題というのは、どこにあるのだろうか。