洞爺湖サミットが始まった。日本は地球温暖化をアピールしようとしているが、海外メディアは、日本が当面の原油高や金融危機にどう対応するかで福田首相の指導力を見ている。

NYタイムズは「人工的な飢饉」という社説で、今回の食糧危機が各国の利己的な農業政策によって作り出されたものだと論じている。2004年以降に増産されたトウモロコシは、すべて食糧ではなくバイオエタノールに回され、これが穀物価格上昇の引き金を引いた。サミットで決まる予定の食糧援助の数十倍の補助金を、欧米諸国は自国の農家にばらまいている。途上国も、30ヶ国で輸出制限をしている。

先進国の農業補助金は、ここ30年ほど続いた農産物価格の低迷に対応するものだったが、小麦や米の価格が2倍以上にもなった今日では、これは豊かな農民をさらに豊かにする政策でしかない。彼らが農産物をダンピング輸出するため、途上国の農業が成り立たない。こんな状況を放置したままアフリカへの食糧援助を増やすのは偽善であり、独裁者の隠し資産になるのが関の山だ。

欧米各国と協調して農業保護を削減し、途上国の自立を促進するための利害調整にリーダーシップを発揮できるかどうかで、福田首相の価値が問われる。日本が率先して米や小麦にかけている高率の関税を廃止し、減反政策をやめて、農業補助金を全廃すれば、それによる農業所得の減少をすべて直接支払いで補償しても、食糧需給は大幅に改善するだろう。

ところが農水省は逆に、食糧自給率を50%に高めるという目標を掲げた「工程表」の作成を決めた。これは農産物の輸入を制限し、補助金を増額し、途上国の飢餓よりも自国の農家の利益を優先する、あからさまな先進国のエゴイズムだ。議長国がこれでは、何も成果は出ないだろう。