最近、地球温暖化や排出権取引について懐疑的な議論が急速に増えている。とても全部は紹介しきれないので、私の目についた中から、これまで紹介した本を除いて今年に限り、前の記事の5段階の疑問にそって分類すると、
  1. そもそも温暖化は起きていない(寒冷化が起こる)とするもの
  2. 温暖化は自然現象であり、人為的な要因は重要ではないとするもの
  3. 温暖化をCO2削減で止めることは不可能だとするもの
  4. 地球温暖化のリスクよりその対策(京都議定書)のコストのほうが大きいとするもの
  5. 排出権取引は非効率であり、課税で解決すべきだとするもの
WMO(世界気象機関)も、今年に入って地球の平均気温が下がっていることを認めたが、これは「ラニーニャによる一時的な現象」だとしている。しかしオーストラリア天文学会の論文によれば、これは太陽活動の低下による20年周期の寒冷化の始まりだ。権威ある学術誌にも、地球温暖化が海流の影響で「相殺」されると予測する論文が出始めている:
Our results suggest that global surface temperature may not increase over the next decade, as natural climate variations in the North Atlantic and tropical Pacific temporarily offset the projected anthropogenic warming. --Keenlyside et al., Nature, May 1, 2008
地球温暖化は、第一義的には経済問題である。地球上には解決すべき問題が山ほどあり、温暖化が最優先だという根拠はない。100年後の気温が3℃上がる(かもしれない)問題と、毎年1000万人以上が感染症や水汚染で死亡している問題と、どっちが緊急課題かは、経済学の知識がなくてもわかるだろう。

懐疑的な意見は、自然科学では多数説ではないが、経済学ではNordhausやMankiwの意見が圧倒的な多数説である。この費用便益分析は、IPCCの結論を前提にして行なわれているので、IPCCの結果が正しいとしても、京都議定書の実施に1兆ドル以上かける政策は正当化できない。少なくとも日本の政府や企業が数兆円の負担を強いられるだけで効果のない排出権取引は、絶対にやめるべきだ。

追記:コメントで指摘されたので、赤祖父氏の分類を変更した。くわしくは、彼の論文参照。Lindzenについては、彼の議会証言が有名だ。Nordhausの厳密な議論(コンピュータ・シミュレーション)は、彼の論文に書かれている。参考までに過去の記事にリンクを張っておくと、Lomborg伊藤公紀・渡辺正DysonBeckerなどがある。