
その仮説を決めるのはデータではなく、経済学者の直観である。本書の仮説は、「金融政策の失敗も大きかったが、本質的な問題は実体経済の改革だ」というもので、林文夫氏のグループとメンバーが重なる。実際には、林氏の本に収められた実証研究は、必ずしもHayashi-Prescottを支持しておらず、本書で吉川洋氏もいうように「マクロ経済が新古典派的な均衡状態にあるという[林氏の]RBC理論は全く根拠を持たない空論である」(p.138)とみることも可能だ。
Hayashi-Prescottの問題点は、一部門モデルで、TFPとして技術進歩だけを考えている点にあった。本書は、これを産業間の生産要素の配分という中間的(mesoscopic)なスケールでみようというもので、この試みはおおむね成功しているように思われる。特に90年代以降、アメリカでは情報サービスなどITで労働生産性の上がった部門に労働が移動したのに対して、日本では逆に、建設業など生産性の低い部門に労働が移動し、サービス業の生産性が落ちている。
つまり「問題はITではない」のだ。重要なのは、ITを使って高度な知的作業を行なう人材や、リスクをとる資本が生産性の高い産業に移動できるよう労働市場・資本市場を活性化する規制改革である。この結論は多くの経済学者のコンセンサスに近いが、それを企業レベルのミクロな実証分析で示したことは重要だ。最後に編者がいうように、官僚中心でサービス業を軽視する士農工商の経済秩序を打破しない限り、日本経済に未来は開けそうにない。
化学専門なんで、経済のことはサッパリですが、興味があるので宜しくお願いします。
よく「金融政策の失敗」とか目にしますが、国の金融政策って何なのでしょうか?
私の知っている国の金融政策とは、国債をたくさん発行して、現金を調達し、米国債をどんどん買う政策です。
今は知りませんが、私が昔調べた時は小泉総理の時が年間20兆円近い米国債を買ってましたよ。これは、ネットの信頼性の無いデータを鵜呑みにしたものでは無く、財務省のホームページに一般公開されているデータから自分で計算した金額です。
これだけ勝手に国債を発行して、アメリカへ年間20兆円も資金援助してたら、私達国民がどんなに頑張っても潤わないですよね。貿易黒字以上の金額をアメリカにあげているのですから。
建前では、「円高ドル安対策の為、1兆円為替介入した」なんていう、ニュースだったですが、ただ単にアメリカへ資金を流すためだけの政策ですよね?
グローバルな視点で日本経済を考えるなら、この巨大な金の流れから追及するべきなのでは?