きょうの閣議後の記者会見で、増田総務相は「有害情報の判断は国ではなく第三者機関がやるべきだ」とし、高市早苗氏らが進めている政府による規制法案に否定的な考えを示した。高市法案を進めていた内閣部会も、基準づくりを民間の第三者機関にゆだねる方針に転換して公明党と合意し、与野党共同で今国会に提案する方針だ。これで高市法案は、完全に葬られた。

今度の法案は、いわゆる「青環法」以来、何度も自民党・警察筋が出そうとして失敗してきたものの焼き直しで、ほとんど高市氏の一人芝居だった。彼女は「米議会スタッフを経験した国際派」として売り出したが、実際は単なるインターンだった。当初は「無党派・リベラル」を売り物にして、1992年の参院選に出たが落選。翌年の総選挙に当選し、自由党(1994年に柿沢弘治氏が連立与党に入るためにつくった党)→自由改革連合→新進党と転々とした。

1996年には新進党で当選しながら、首班指名で橋本総裁に投票して自民党に鞍替えしたが、2003年にはまた落選。2005年の郵政選挙で「刺客」として、隣の選挙区に国替えして当選した。最近は「右派の論客」を気取って夫婦別姓に反対しているが、自分は別姓を名乗っている(本名は山本早苗)。一昨年、新聞の「特殊指定」騒動のときは、指定を維持するための独禁法改正案を議員立法で提出すると公取委を脅した。

こうみると、彼女の政治的行動は支離滅裂で、一片の政治理念もない。一貫しているのは、選挙に弱い(人望がない)ためにマスコミに出たがりだということと、つねに強い者に迎合する機会主義である。選挙区の奈良2区には地盤がないので、「刺客バブル」の崩壊した次の選挙では、また落選する可能性が高い。こういう無論理な政治家には理屈でいってもわからないので、落選させるのが一番である。選挙にも最高裁国民審査のように「☓」の投票を認めれば、投票率が上がると思うのだが・・・