最近、岩波文庫版の『一般理論』が売れているらしいが、これは絶対に読んではいけない。もともと原著が、サミュエルソンも「あの本が出た当時、MITで理解できる人は1人もいなかった」といったほど、難解(というより支離滅裂)な本である。おまけに訳者は、マクロ経済学を勉強もしたこともないマル経。理解不可能な原著を理解能力のない訳者が訳して、読者が理解できるはずがない。

さらにひどいのは、今週でた本山美彦『金融権力』(岩波新書)だ。これはほとんどネタである。「読んではいけない」という冗談で書いたコラムを最近、復活したら、意外にアクセスが集まっているが、17冊のうち7冊が岩波の本だ。私は岩波に幻想をもっている世代ではないが、それにしてもこの質の低下は目をおおわしめるものがある。

最近では大江健三郎訴訟で、裁判所に「大江氏の記述は事実ではないが、誤解してもしょうがない」と助け舟を出してもらって、かろうじて一審では助かった。しかし「人権擁護」をうたう岩波は、「集団自決を命じた証拠はない」と裁判所も認定した赤松大尉を、屠殺者という差別用語で罵倒する『沖縄ノート』の記述を、このまま重版し続けるのか。岩波も社会主義と一緒に、墓場に行ったほうがいいのではないか。