d14d1538.pngNTT出版から出した私の修士論文(1997)が、絶版になって久しい。古本では入手できるようだが、最近、古いPCを捨てるときファイルを整理していたら、そのLaTeXファイルが出てきたので、コンパイルしてみた。PDFファイルで、約800KB。索引が抜けているほか、少しバグがあるが、ほぼ全文(192ページ)が復元できた。

これは最近、藤本隆宏氏などが言っているモジュール化の概念を、日本で初めて(Baldwin-Clarkとは独立に)提示し、契約理論で説明したもので、日経図書文化賞の候補になった。戦前からの日本企業のコーポレート・ガバナンスをゲーム理論で分析した「歴史的制度分析」の一種ともいえる。日本の「伝統的労使関係」と思われているのは1960年代以降に形成されたもので、「日本人はすり合わせじゃないとだめだ」とか「終身雇用は日本の文化だ」などというのは神話である。

そうした労使関係や系列関係が高い効率を発揮するのは、生産要素の補完性が高い場合にかぎられ、工程がモジュール化して独立性が高まり、中間財のグローバルな市場が形成されている情報通信産業には、こうした日本型企業組織は適していない――というメッセージは、今でも古くなっていないと思うので、ccライセンス(著者名表示・非営利)で公開する。かなり専門的だが、数式を飛ばしても読めるように書いた。

追記:コメントで教えてもらって、タイトルと目次つきの改訂版をつくり、本文の誤記を修正した。索引はできていないが、PDFファイルで検索したほうが速い。