あす注目の2.5GHz帯のヒアリングが行なわれるが、いろいろな関係者の話を聞くと、そもそも周波数の割り当てに問題があるようだ。これは総務省の報道資料を読んでも、普通の人には理解できないほどわかりにくく書いてあるのだが、簡単に図示すると、次のようになる。

第1の問題は、30MHz×2だと思われていた帯域が、実は20・10・30MHzという割り当てになっていることだ。低いほうの30MHzのうち、「利用制限」と書かれている10MHzは、通信衛星との干渉があるため、2015年まで使えない。したがって、これは実質的には20MHzバンドである。WiMAXはチャンネル設定の都合から30MHz必要なので、この帯域は使えない。したがって、ここは唯一WiMAXではないウィルコムに割り当てられる可能性が高いと思われる。

最大の謎は、まん中の固定系地域バンドである。これは報道資料を読んでも、いったい何のための帯域なのか、さっぱりわからない。「デジタル・デバイド」解消のため、市町村をエリアとする固定無線に割り当てるというから、「ルーラル無線」に近いイメージかもしれないが、今のところ申請者は新潟の業者ぐらいだという。他の2つの帯域で時価数千億円の利権をめぐって激しい闘いが行なわれているというのに、その中央に誰が使うのかも不明のバンドが入っているのはどういうわけか。優先順位の低い帯域は「利用制限」バンドに移して、30MHz×2にしてはどうか。

こういう奇怪な割り当ての結果、WiMAXに使える帯域は高いほうの30MHzだけになってしまった。ここに3グループが競合しているわけだが、朝日新聞によれば、ここはKDDIに割り当てられる見通しで、その理由は「WiMAXフォーラム」に幹事を出しているからだという。この報道が事実だとすれば、総務省の政策は混乱している。彼らが情報通信法で長期戦略として打ち出しているように、今後の通信はレイヤーに分化するので、キャリアが通信機器の製造技術をもつ必要はない。総務省のモバイルビジネス研究会でも、携帯電話の垂直統合モデルが日本の通信機器産業を弱体化させたという問題意識にもとづいて、キャリアとベンダーを独立させる方向を提言したのに、周波数は製造技術を理由にして割り当てるというのは矛盾している。

ユーザーにとって大事なのは、どのキャリアが安くて良質なサービスを提供するのかということであって、機材の製造技術ではない。端末は、ユーザーが自由に選べばよいのだ。またアメリカの700MHz帯についてFCCが決めたように、一定の帯域を他社の端末やMVNOに開放するかどうかといったオープン化を審査基準にすることも考えられよう。関係者だけのヒアリングで終わらせず、2GHz帯も含めた帯域割り当ての見直しを行い、これを日本の電波政策を大きく転換する契機にしてほしい。

追記:きょうのヒアリングは盛り上がったようだが、参加したのは関係者だけだ。ICPFでは12月4日に、あらためて各社に集まっていただいて緊急シンポジウムを行なう予定である。くわしくは来週、発表する。